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【甲子園】東海大相模が快進撃8強 元巨人・原俊介監督が〝苦悩〟を乗り越えた日「そうじゃダメだ」

東スポWEB 2024年8月17日 6時5分

第106回全国高校野球選手権大会の第10日(16日)第1試合は東海大相模(神奈川)が2年連続25回出場を果たしている広陵(広島)に8―1と大勝し、9年ぶりのベスト8進出を決めた。東海大相模を指揮するのは元巨人の原俊介監督(46)。今年は監督就任3年目の年だが、これまでの道のりは苦悩の連続だった。プロ引退後、原監督は何を思い母校の監督を務めてきたのか。〝指揮官の右腕〟でもある和泉淳一部長(51)に迫った。

原監督の野球人生は決して順風満帆ではなかった。東海大相模では強肩強打を誇る捕手として活躍し、1995年のドラフトで1位指名された巨人へ鳴り物入りで入団。しかしながらプロ7年目までファーム暮らしが続き、一軍出場は2003年からの4シーズンで通算68試合にとどまった。

現役引退後はトレーナーを目指し、早稲田大学に進学。運動生理学や動きのメカニズム・パソコン技術を学び、これから第二の人生を歩もうとしていたところで東海大静岡翔洋(静岡)から監督就任の声がかかった。16年4月から約5年間にわたって同校で監督を務め、静岡県大会優勝が手に届きそうな矢先、21年9月に母校・東海大相模の新監督に就任した。

優勝実績がない状態で「東海大相模」の看板を背負うことになった。原監督を高校時代からよく知る和泉部長は当時の様子を次のように語る。

「最初の1、2年っていうのは選手たちは(前監督の)門馬さんの息がかかっている状態でした。当時から東海大相模は弱くはなかったし、言葉にはしませんが『そうじゃないんだ。俺たちはこういうふうにやるんだ』って思っていた選手も何人かいましたね」と明かす。

そのため「本人は最初戸惑いもあったと思います。『自分の思うようにできない』と悩んだ時もありました。特に1年目は選手たちにすごく遠慮していましたね。歯がゆい思いもたくさんしていたようです」。

東海大相模出身のプロ野球選手らも門馬敬治前監督(54)へ寄せる信頼は厚い。中には前監督の言葉である「一日一生」を好きな言葉として掲げている選手も多い。それだけに〝越える壁〟は高かった。だが、それでも原監督は諦めなかった。悔しさを糧に苦戦を乗り越える力、そして熱い思いを胸に挑む「GIANTS PRIDE」が魂に宿っていたからだ。

「『いや、そうじゃダメだ。こうなんだ』っていうのをずっと選手に言い聞かせていました。3年目はいい意味で遠慮しなくなりましたね。今は自分の思い描く野球ができているんだと思います」(和泉部長)

言葉だけではなく、行動でもプロ時代の経験を生かした。同部長は「技術的なことは、いつも自分が見本や手本となって選手らに見せています。自分で打席に立って打ち方を細かく教えたり、スローイングだったり。そこは本当にすごいです。やっぱりプロだなと思います」と感嘆する。

捕手出身の原監督はブロッキングに関して特に熱く指導。主将の木村(3年)は昨年秋までなかなか上達しなかったが、毎日練習後に監督とマンツーマンでブロッキングの練習を1時間以上したところ、今年の春から急成長を見せた。

主将を含む主力の3年生は門馬前監督の辞任決定後、迷いながらも相模の門をたたいた選手たちだ。選手たちのためにも、原監督はプロでの経験を生かすだけではなく、生活面で社会人になるために大事な教育もしていこうと何度もコーチと部長に熱く語った。まさに「情に厚い監督」という。

東海大相模は新たに「結(つなぐ)」というテーマを掲げた。この言葉には打線だけではなく、人間関係も大事にする意味が込められている。あとは就任後初となる深紅の大優勝旗をつかみ取るだけだ。

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