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狂虎タイガー・ジェット・シンがまさかのクリーンファイト!アントニオ猪木がNWF王座奪還

東スポWEB 2024年8月18日 10時4分

【昭和~平成スター列伝】“燃える闘魂”ことアントニオ猪木が、初めてNWFヘビー級王座争奪戦(1975年3月13日、広島)で“狂虎”タイガー・ジェット・シンに敗れた試合は前回に触れた。猪木は2回目の挑戦となった75年6月26日蔵前国技館で約4か月ぶりに至宝を取り戻している。

この一戦は大方の予想を覆してシンがクリーンファイトに徹し、歴史に残る名勝負となった。決戦前日には本紙に「サーベルと反則の封印、4つの必殺技」の存在を明かし、猪木や馬場もコーチを受けた名匠フレッド・アトキンス譲りの正統派レスリングを宣言。本紙は詳細を1面で報じている。

『注目のNWF世界ヘビー級選手権は26日、超満員の蔵前国技館で行われ、猪木が3度目のアタックに成功。ベルト返上以来、約4か月ぶりに王座に返り咲いた。「サーベル、反則は使わない」と公約したシンだが、やはりサーベルを持って入場。観客の憎悪が渦巻く。ところがシンはレフェリーのチェックを受けると素直にサーベルを渡した。観客は安どの色を浮かべた。シンは公約通りに1本目はクリーンファイトを展開したが、猪木のジャパニーズクラッチホールドで先制されるとエキサイト。反則を使わなかったのは6分間だけである。2本目は必殺のコブラクローを左首筋に決め、血染めの猪木を新殺法のアルゼンチンバックブリーカーで料理。タイに追いついた。決勝ラウンド、猪木のダメージはひどい。シンはクロー攻撃からブレーンバスター、さらにもう一発。しかし猪木は粘った。凶器でのノド攻めに耐え、必殺のバックドロップ。猪木は渾身のドロップキック。左耳にヒットするともう一発。棒立ちのシンを猪木はバックドロップ。猪木の勝利が決まった』(抜粋)

攻めるシン、耐え抜いて逆転した猪木。まさに名勝負だった。何と試合後にシンは猪木に手を差し出して、ガッチリ握手を交わす。さらには猪木の右腕を上げて勝利を祝福する。“狂虎”シンがこのようなクリーンファイトを展開した試合は後にも先にもこの試合しか例がなく、死力を尽くした後の「ノーサイド」だった。もっともこの試合後は、元の凶悪なシンに戻るのだが…。

ちょうど1年前の74年6月26日大阪では、猪木は予告通りにシンの右腕を折って壮絶戦の末に勝利。こちらも伝説の名勝負として語り継がれている。それから1年。「血の抗争」だけでなく猪木とシンの「ストロングスタイル」戦も名勝負として、ファンの記憶に刻み続けられている。 (敬称略)

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