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【柔道】村尾三四郎がパリ五輪で見せた〝大和魂〟 両親が名前に込めた思いを体現

東スポWEB 2024年8月20日 7時14分

【取材の裏側 現場ノート】パリ五輪が11日に閉幕した。金メダル3個を獲得した体操男子のニューヒーロー・岡慎之助(徳洲会)ら活躍選手がスポットライトを浴びる一方で、柔道など微妙な判定もたびたび話題になった。

柔道男子90キロ級銀メダルの村尾三四郎(23=JESグループ)も、その一人。ラシャ・ベカウリ(ジョージア)との決勝では、ともに技ありを奪って迎えた終盤に内股で技ありを奪ったかに見えたが、認められず、最後は逆にポイントを奪われた。本人は「金メダルだけを目指していたので本当に悔しい。五輪で金メダルを取れなかった自分にがっかりしている」と肩を落としたが、判定を敗因にしなかった。

村尾の銀メダル後、現地で観戦していた父・英俊さんと米国人の母、デボラ・グロウさんが報道陣の取材に応じた。記者は、判定に関する〝異論〟が出てくるかもと思ったが、英俊さんは「残念でした。オリンピックの風が吹かなかったです」と言いつつも「今回はオリンピアンになったことで目標はクリアなので、この次はステップアップできる。着実に前に進んでいる」と次への期待を語っていた。

また英俊さんは、判定について「(村尾が不満を示さず)きちんと礼をしていたので素晴らしかった」。母親も「三四郎の柔道は素晴らしかった」とコメントしていた。もちろん、息子の金メダルを期待していただけに、悔しい気持ちもあるだろうが、判定に対する不満を漏らさず、こちらもすがすがしい気持ちにさせてもらった。

すでに知られた話だが、このときも英俊さんは、三四郎の由来について改めて説明してくれた。「柔道(の姿三四郎)というより、ウチはハーフなので生粋の日本人に育てたくて、それにふさわしい名前はないかと考えて私がつけました」。名前に込められた思いは、村尾自身が体現していると言っていいだろう。

母親の母国で開催される2028年ロサンゼルス五輪では金メダルを期待したい。

(五輪担当・森下久)

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