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【バレーボール】パリ五輪で浮かび上がった女子代表の課題 名セッターが分析

東スポWEB 2024年8月21日 11時39分

五輪メダリストの見解は――。バレーボール女子の元日本代表で2012年ロンドン五輪銅メダルの竹下佳江さん(46)が20日、都内で行われたロッテ社主催のイベントに参加。パリ五輪代表の石川真佑(24=ノバラ)とともに子供たちと交流した。女子代表で監督付戦略アドバイザーを務める名セッターが本紙の取材に応じ、オリンピアンがコート外で活動する意義、パリ五輪で浮かび上がった課題を明かした。

――パリ五輪直後にもかかわらず、石川は精力的にイベントに参加している

竹下さん(以下、竹下)五輪後に石川選手などがイベントに参加するのは、子供たちにとって貴重な経験になるのでは。以前は各選手がすぐにチームに帰ったりするケースが多かったので、現役のアスリートと子供たちが触れ合ったり、画面で見ていた人が目の前にいるのはすごいうれしいことだと思う。子供たちにとっても夏休みの終盤だけど、いい思い出になったんじゃないかなと思います。

――時代の変化を感じるのか

竹下 昔に比べてイベントが増えてきている点もあると思うが、そういった活動もアスリートに求められる時代にもなってきているのでは。石川選手のような影響力のある人がイベントに参加してくれることは明るい話題にもなるし、すごいいいことだなと思います。

――アスリートの影響力は大きい

竹下 競技者として結果を出すことだけでなく、スポーツの持つ力、与える影響は非常に大きい。今はいろんなアスリートを客観的に見る機会が多いので、アスリートが持つ言葉の力や人間性なども含めて、親御さんやお子さんも見ているのかなと感じますね。

――パリ五輪ではメダルを目指していた女子代表が、2大会連続の1次リーグ敗退に終わった

竹下 結果というよりも、そこに向けて頑張ってきた選手たちに対して「本当にお疲れさま」という思い。(6月末まで行われた)ネーションズリーグ(VNL)で銀メダルを取ったことで周りの期待度は非常に高かったと思うが、女子の場合は五輪の出場権を取るのに時間がかかった(6月中旬に決定)。ギリギリの段階で五輪に入ったので、時間の持っていき方は非常に難しかったと思います。

――VNLと五輪の違いはあったのか

竹下(8強入りの)男子代表は早め(昨年秋)に五輪の出場を決めていた。女子も先に出場を決めているチームが、調整の仕方も上手にいっていたように感じる。ただ、VNLで出場権を獲得したイタリアの場合は、VNLで調子を上げて優勝して、そのまま五輪でも優勝しているので、そこは調整がうまくいったのかなと思いますね。

――女子代表の課題は

竹下 世界で勝つためには、まだまだやらなきゃいけないことはたくさんあると思った。数字的なものとかはこれからフィードバックしていくのもあると思うが、トップチームだけじゃなくて、育成年代の強化をしていかないといけないと思う。アンダーカテゴリーもそうだが、世界に向けてどう育成していくかというところも含めて、バレー界全体として底上げしていかないと、まあまあ厳しくなっていくのではないでしょうか。

――どの年代も考えを一致させた上で強化していく必要がある

竹下 理想はそうですね。そういうふうにできるといいが、まだまだ日本協会としてというか、バレーボール界全体としての課題がたくさんあるのかなと思います。

☆たけした・よしえ 1978年3月18日生まれ。福岡県出身。97年に日本代表入りを果たしたが、2000年シドニー五輪出場を逃して一度は引退。復帰後は女子代表の主将を務めるなど、五輪3大会に出場した。「世界最小最強セッター」として、日本の司令官の役割を担った。2012年ロンドン五輪では3位決定戦で韓国を下し、28年ぶりの表彰台を勝ち取った。13年に現役引退後は結婚・出産を経て、指導者、解説者として活動。24年度は女子代表の監督付戦略アドバイザーを務める。159センチ。

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