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【巨人】菅野智之〝完全復活〟まで2年の道のり 久保康生コーチが明かす「投球フォームの変化」

東スポWEB 2024年8月27日 5時10分

巨人の円熟右腕を完全復活させた〝名伯楽〟が直撃に答えた。25日の中日戦(東京ドーム)で菅野智之投手(34)はリーグ単独トップの12勝(2敗)をマーク。その右腕が感謝の言葉を常々口にするのが久保康生巡回投手コーチ(66)だ。近鉄、阪神、ソフトバンクでマンツーマン指導を行い岩隈久志、メッセンジャーら名投手を育ててきた同コーチが、約2年間にわたる菅野の「華麗なる復活」までの道のりを明かした。

――昨季4勝(8敗)の菅野復活の最大のカギは

久保コーチ(=以下、久保C) 体の使い方がいびつだと体もあちこち痛くなるし状態も悪くなる。理にかなった、守らなければならない部分があって、それを守っていけばそんなに壊れることはない。菅野は昨年の時点であちこちがひずんでいた。そういうのも含めて、彼には話をした。

――基本は体を揺らして力の原理を確かめる「やじろべえ理論」

久保C そう。ぎっこんばったん(笑い)。菅野は今年になって急に変わったわけではない。去年は4勝だったけどそこまでフォームを作りこんでいた。そのため前半戦を捨ててしまう形になった。

――同学年の原前監督に呼ばれ、2022年秋に巡回コーチに就任。すぐに菅野は話を聞き入れたのか

久保C 23年2月の春季キャンプで最初にしっかりと話をしたが、その時は完全には受け入れられなかった。キャリアがあるし、投球フォームを変えるのはなかなか難しい。ようやく一度、ちゃんと聞こうかとなったのが4~5月。右肘違和感で開幕投手をキャンセルして、菅野が二軍に来た。ケガが治って動けるようになってからだから、実際に動きを変えるのに6月までかかった。

――その時はスムーズにいったのか

久保C いや(笑い)。まず大竹寛コーチ(現二軍投手コーチ)がリハビリ担当をしていたので、菅野に橋渡しをお願いした。こういうアプローチがあると間接的に伝えて。最初にガツッと言ったので、あまり無理にいっても菅野に迷惑かなと。本人が聞きたい時に聞いてくれればと。

――指導で直球の出力はすぐに上がった

久保C 体の使い方が良ければ、登板翌日でも疲労はなくキャッチボールや遠投ができる。それまで菅野は始動の時に体をねじっていた。それを自然と体がパタンと倒れる形に変えた。自分の高さを生かしたフォーム。菅野も以前はそうやって投げていたんだけど、キャリアを重ねるウチに段々と体をねじるようになっていた。

――2年越しの努力がようやく実った

久保C 菅野と私と大竹コーチの3人にはこうなる予感はあった。去年はチーム状態もあって抑えても点が入らなかったり、4勝で止まったけど菅野の投球内容は高く評価していた。ハマればとんでもなくなると。

――今年2月のキャンプでの状態は

久保C 菅野はもう完全に動きをつかんでいた。杉内投手チーフコーチも『15勝できる』と言っていたけど、私と彼の中では去年の8月には太鼓判を押している状態だった。

――菅野は今年で35歳。今後の見通しは

久保C もちろん、まだまだいける。35~40歳で最盛期を迎えた投手は自分が現役を過ごした近鉄、阪神にもいっぱいいた。その意味では今回は自分の中の経験が生きた。菅野は直球の出力を出そうと思えば、154~155キロは出る。それをある程度、制球を重視して抑えている。自分の私利私欲で球速を出すのではなく、チームが勝てるピッチングに徹している。

――巨人は投手陣の奮闘もあって優勝争い中

久保C 戸郷と山崎伊がカード頭で頑張ることで菅野の勝ち星が増えている。若手とベテランのバランスとしてはとてもいい状態にあると思う。

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