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【女医のお部屋】足が臭う人はヤブ蚊に刺されやすい ウイルスを媒介して感染症引き起こすケースも

東スポWEB 2024年9月1日 10時14分

たかが「虫刺され」だと思いがちだが、中にはウイルスを媒介し、感染症を引き起こす虫もいるという。代表的なケースについて、救急専門医の川原加苗先生に教えてもらおう。

――ヤブ蚊について注意したほうがいいと聞きます。なぜでしょうか

川原医師(以下、川原)蚊は大きく分けてイエ蚊とヤブ蚊に分けられます。ヤブ蚊の方が、かゆみを強く感じるなど、イエ蚊に比べ、少し症状が強い傾向にあります。とはいえ、皮膚症状くらいであれば大きな問題にはなりません。注意すべき点は、蚊がウイルスを媒介する性質を持っていることです。

――感染症にかかるということですか

川原 その通りです。それぞれの蚊が媒介するウイルスは違います。イエ蚊は日本脳炎や犬などに感染するフィラリア、ヤブ蚊はデング熱などを媒介します。日本にもともといるヤブ蚊がデング熱を媒介することはないのですが、東南アジアなどで存在するヤブ蚊はデング熱を感染させ、多くの人の命を奪っているため、日本でも注意喚起が行われているのです。

――日本に住んでいれば大丈夫のように思えますが…

川原 そうとも言い切れません。現在は海外との行き来が盛んです。デング熱ウイルスに感染しているヤブ蚊が海を渡り入ってきて、日本で繁殖し、感染を広げる可能性はゼロではないからです。

――気がつけば「蚊に」血が吸われています。対策法を知りたいです

川原 蚊は汗の臭い、二酸化炭素を発している人、体温が高い人に近寄ってきやすいといわれています。特に足が臭う人は吸われやすいとされているので、足を清潔にしましょう。あとは、飲酒により体内で二酸化炭素が発生しやすいので、お酒は控えるといいですね。

――ほかにウイルスを媒介する虫で身近なものはありますか

川原「ダニ」ですね。様々な感染症を媒介します。代表的な感染症は日本紅斑熱や近年南国のほうで増えているSFTSです。まれとはいえ可能性はゼロとは言えず、年々報告数も増加傾向にあるので要注意です。

――ダニにかまれたらどうすればいい

川原 無理に引きちぎるのは絶対にやめてください。ダニは血をおなかいっぱい、満足するまで吸うために、人間の皮膚に2つの刺し傷をつくり、ぐっと入り込んでいます。自分で引きちぎることで、ダニの一部が残り、刺し傷から炎症が起こることもありますし、感染症のリスクが高まる可能性もある。皮膚科など、外科的な治療を行うことができる科を受診し取り除いてもらいましょう。

かわはら・かなえ 米盛病院救急調整室教育部長。日本救急医学会救急科専門医、日本内科学会認定内科医、日本中毒学会認定クリニカル・トキシコロジスト。福岡大学医学部卒業後、福岡徳洲会病院などを経て現職。

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