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建設会社が〝手抜き厳禁〟で異業種経営 むき出しの配線に足場…店内が「工事現場」!?

東スポWEB 2024年9月1日 10時15分

【今日もひとりで謎喫茶「現場喫茶(東京・押上)」】

お疲れさまです。工事現場のフェンスにあるイラストをじろじろ見てしまいがちな、東スポぼっち記者です。ユニークな体験や変わったコンセプトが特徴の喫茶店を紹介する企画「今日もひとりで謎喫茶」、今回は現役の建設業者が経営している「現場喫茶」さんにお邪魔しました!

今回訪問したのは、東京メトロ・都営地下鉄押上(スカイツリー前)駅から徒歩5分の「現場喫茶」さんです。「現場」という言葉を聞いて不思議に思う方もいるかもしれませんが、こちらは文字通り「工事現場」をイメージ・再現したカフェになっています。

実際にマンションの修繕や防水といった工事を担当されている、株式会社髙橋工業さんが経営されていますので、店舗の“現場感”は折り紙付き。お店の前には、「今週の作業予定」と題して開店スケジュールが公開されているなど、入店する前から早くもお店のちゃめっ気が感じられました。

そしてコンクリートを基調とした店内は配線もむき出しになっていて、まだ建設中と言われても危うく信じてしまいそうな雰囲気。これには大の大人でも、普段隔てられている場所に踏み入れるような、独特のワクワク感がありました。見渡すと厨房の上の「足場」に食器が並んでいたり、天井付近にはヘルメットが並んでいたりと、リアリティーを強めるための工夫もてんこ盛り。これまでに訪問した「謎喫茶」の中でも、特に空間づくりを意識されているお店のように感じましたね。

「最近では“はたらくくるま”が大好きなちびっ子が、親と一緒に訪れることも多い」と語るのは店長の今井千聖さん。その上で子供が退屈しないように、塗り絵やおもちゃなど、時間をつぶせる道具もしっかり準備されています。インスタグラムでは「#日本一落ち着く工事現場」と紹介されているだけあって、どんな人でもゆったりと過ごせる空間になっているんですね。

また、東京スカイツリーにほど近いこともあって、周囲の民泊を利用している、外国人観光客の方も来店されるとのこと。お店の各所に英語表記があるのもそのためでした。加えて電源とWi―Fiも完備されていて、リモートワークにもピッタリ。気分を変えて仕事をしたいという方に、“現場”での作業はかなりオススメですよ…!

もともとは一般の方にあまり知られていない工事についての情報を提供し、慣れ親しんでほしいという理由で2020年に開業。コロナ禍とぶつかり当初の集客はかなり厳しかったそうですが、それでも着実にファンを獲得してきたといいます。もちろん当初から工事現場とカフェをミックスするというコンセプトは妥協せず。現役の建設会社として、リアルな道具や器材をふんだんに使ってお店をつくり上げたことが功を奏したそうです。

そのこだわりはフードメニューにも波及しているとのこと。使用するお米の品種やカレーのルーも追究しているほか、コーヒー豆は3社から取り寄せて時期に合わせる形で使用しているのだとか。安全が何よりも大事な建設業界を出自としているだけあって、異業種のカフェに関しても手抜きは厳禁ということですね。

取材ではシンプルな塩にぎりとふりかけの組み合わせ、そして添えられたたくあんがうれしい「現場おにぎり」と、「ご安全に」という文字が描かれたカフェラテをいただきました。おにぎりはお米本来の甘みが口の中に広がる一品。「元気が出る食べ物」とはこのことだなと実感しました。それにしても労働中の白米って、なんでこんなにおいしいんでしょうね…。そしてカフェラテも「なるべく文字は崩したくない!」と気をつけつつ、結局はあっという間に完飲。次来店した際には、「ヘルメットよいか」の文字をリクエストしようと思いました。

店内では実際の工事の映像もモニターで流れており、商談の場やショールームの役割も持っているという「現場喫茶」さん。カフェを利用した後に、工事を依頼してくださったお客さんもいたそうで、広く知ってもらうという本来の目的は着々と達成されているようです。今井さんも「『現場喫茶』という名前に身構えてしまう方もいらっしゃるのですが、全く工事の知識がないという方にも気軽に入店していただきたいです」と明るく話されていました。

今回訪れた「現場喫茶」さんは、職人さんの心意気、そしてこだわりがあふれる“謎喫茶”でした。まだまだ暑い日が続きますが、読者の皆さんも「ご安全」に気をつけながら来店してみてはいかがでしょうか?

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