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井上尚弥 防衛戦で「世紀の番狂わせ」あるか? ドヘニーと戦った男が語る〝警戒ポイント〟

東スポWEB 2024年9月2日 5時9分

「世紀の番狂わせ」はあるのか? ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)は3日、東京・有明アリーナでWBO同級2位TJ・ドヘニー(37=アイルランド)との防衛戦に臨む。試合開始のゴングが秒読みとなるなか、2019年1月に当時IBF同級王者だったドヘニーに挑んだ元プロボクサーの高橋竜平氏(34)が取材に応じ、挑戦者の〝闘争心〟に警戒を呼びかけた。

――2019年1月に米ニューヨークのマジソンスクエア・ガーデンでドヘニーに挑戦したが、11ラウンド(R)TKO負けとなった

高橋氏(以下、高橋)ガンガン前に出て手数を増やして、12R戦うつもりだった。だけど、3R目にワンツーを効かされて、倒れないようにクリンチしようとしたら、左でスリーを打たれてダウンした。テクニックもそうだし、攻め切る力をすごく感じた。(終始)細かいパンチをもらい続けて、これは危険だねというところで、11Rで審判が試合を止めた。

――ドヘニーのパンチ力は

高橋 僕のボクシングキャリアも長いけど、今まで感じたことのないようなパンチだった。人の数だけパンチの質があって軽いパンチ、重いパンチ、硬いパンチとかいろいろある。ドヘニーは吹っ飛ばされるようなパンチで、一発でもクリーンヒットしたら危ないなと感じた。

――井上は前戦5月に東京ドームでルイス・ネリ(メキシコ)に6RTKO勝ち。ただ、1Rに左フックを浴びて生涯初のダウンを奪われた

高橋 井上選手は相手を前に出させない狙いもあったのか、初回から強い右スイングを打っていった。強い右を打つことによって体が開いていったことや、プロボクシングでは34年ぶりの東京ドーム開催という大舞台での試合の緊張感などもあり、ああいう事故のようなダウンが起きたのかなと思う。

――同日にドヘニーはネリのリザーバーとして招かれ、ブリル・バヨゴス(フィリピン)に4RTKO勝ちを収めている。今回の試合で、ネリ戦のような序盤のダウンが起きる可能性は

高橋 それは5月までの話なので。今はより強く完璧な井上選手になっていると思うので、僕は起きないと思う。井上選手は修正力が段違いだし、同じミスは2回もしないタイプなので。

――現在ドヘニーは37歳。当時対戦した時と比べて、加齢による衰えは感じるか

高橋 そういうのは特に感じない。(4RTKO勝ちを収めた)23年6月の中嶋(一輝)選手との試合を見て、ドヘニーはまだまだ動ける印象を持った。(当時よりも)玄人感のある動きというか、細かい出入りやサイドの動きも見られた。

――戦前では井上が圧倒的有利との予想が大多数を占める。番狂わせの可能性は

高橋(今回の試合へ向けての)ドヘニーのコメント一つひとつを見ても、タイトルマッチに必ず勝つという気持ちを感じる。(当時)僕がリング上でドヘニーと対峙した時も、彼の表情から絶対に負けられないという気持ちが伝わってきて、鳥肌が立った。周りから井上選手にとってイージーな試合だと言われているけど、実際にどうなるかはわからない。ボクシングは強さとうまさだけではなくて、メンタルもあるので。勝てば4団体のチャンピオンになれるし、井上選手に負けないぐらいドヘニーは勝利への執念を持っていると思う。

――ズバリ、今回の勝敗予想は

高橋 ドヘニーは直近3試合で4R以内にKO勝ちしていて、前半で決着がついている。ネリ戦での1R目のダウンも踏まえて、ドヘニーが前半勝負でくる可能性は高い。井上選手がミスすることなく順当に勝つと思うけど、世界タイトルマッチを争った戦友(ドヘニー)のアップセットが見たい気持ちもあるといったら嘘ではない。いろいろな気持ちが入り混じっての観戦になると思うけど、当日の試合を楽しみにしています。

☆たかはし・りょうへい 1990年2月1日生まれ。新潟県加茂市出身。中3でボクシングを始め、加茂暁星高、東洋大を経て2012年12月にプロデビュー。14年12月にバンタム級で全日本新人王に輝いた。17年12月にIBFパンパシフィック・スーパーバンタム級王座、18年6月にIBFアジア同級王座を獲得。22年5月に現役を引退した。プロ戦績は26戦19勝(8KO)6敗1分け。現在は引退後に自ら立ち上げた「相談支援事業所 セコンド」の代表を務め、横浜光ジムのトレーナーも担当している。

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