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【菊地敏幸連載#32】緻密な鳥谷敬のお父さん〝息子のヒットの数が1本少なく報道されている〟

東スポWEB 2024年9月4日 11時9分

【菊地敏幸 辣腕スカウトの虎眼力(32)】2003年のドラフトで阪神に入団した選手たちは同期のユニホーム組はもちろんですが、その親御さんたちも仲がいいという話題に触れたいと思います。

自由枠で大学生の鳥谷と筒井に始まり、社会人の桟原と庄田、高校生の小宮山という構成なのですが、唯一の高校生だった小宮山のお母さんがすごくマメな性格だったんです。

入団発表前日に新人の各選手と会食するんですが小宮山のご両親、特にお母さんが社交的で「小宮山の母です。一番年下ですから、よろしくお願いします」と各テーブルを回ってね。率先して動いてくれるタイプで今でも私と連絡を取ってくれています

この「03会」はご両親がつるんで仲良くなってしまってね。新人合同自主トレが行われる1月10日前後だったかな。その前日に03年ドラフト同期の親御さんたちが全員集合したらしいんですよ。筒井のお父さんはその前日の飲み会で飲みすぎちゃって、動けなかったというエピソードもあるくらいで。その会を仕切っていたのが小宮山のお母さんという図式です。小宮山のお母さんは歌も大好きでプロ級。私の行きつけのスナックではママとも仲良くなっちゃってね。

鳥谷のお父さんも特徴的ですね。どちらかというとエンジニア的な頭脳を持っていて、賢いというか緻密なんです。学生時代の鳥谷の試合を全試合見ていて、自分でスコアブックもつけて大学通算100安打の時なんて、ちょっとした逸話もありました。

スポーツ紙各社も鳥谷の記録を取っているわけですが、安打数を1本少なく報道していたんです。するとお父さんが「絶対に違う。1本違うって」と指摘したわけです。そしたら本当に報道の方が1本少なく報じていたんです。そういう野球に関して緻密なところは鳥谷にも遺伝していたかもしれないですね。

最近、03年ドラフト同期から連絡があったのは小宮山の携帯電話からでした。シーズンオフの1月くらいだったかな。桟原が経営する大阪・北新地のお店で鳥谷、筒井、小宮山が集まって会食。庄田は体調を崩して欠席だったはずです。そこで私の話題が出たということで連絡をもらいました。引退してもこうして交流があるというのはほほ笑ましいことです。

それにしても、鳥谷は自由枠で獲得した選手として素晴らしい成績を残してくれました。これに関しては本人の努力のたまものであり、スカウトの立場からすれば12球団が注目する選手なので発掘したというわけではありません。

18年にわたって現役生活を続け2243試合に出場。2099安打というのはとんでもない数字です。1939試合連続出場はNPB歴代2位の記録です。連続試合フルイニング出場667試合は歴代4位で遊撃手としては日本一。遊撃手としてのシーズン最多打点104(10年)もNPB記録でしょ。ベストナイン6度(08、10、11年、13~15年)、ゴールデン・グラブ賞5度(11年、13~15年、17年)というのもすさまじい実績です。

鳥谷を自由枠で獲得できたのは私だけの功績ではありません。もちろん、関わってくれたいろんな方々の尽力があってのことです。特に私は一緒にタッグを組んで活動してくれた池之上格スカウトの存在が大きかったと思っています。次回はそのあたりについてお話しさせていただこうと思います。

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