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【西武】黒星ロードの背景に深刻な「4番不在」 ポスト山川と期待される渡部健人は伸び悩み

東スポWEB 2024年9月5日 5時10分

〝獅子の悪夢〟はまだまだ続くのか。西武は4日のオリックス戦(ほっともっと神戸)に0―4と敗れ、今季18度目の零封負け。借金は再びワーストタイの43にまで膨れ上がった。ガス欠打線の攻撃力は相変わらず深刻なままで、この日も相手先発・山下ら4投手の前に無得点。そんな深刻な得点力不足を生み出す最大の要因ともっぱらなのが「4番不在」だ。裏側ではソフトバンクへ移籍した山川穂高内野手(32)の後釜として期待された渡部健人内野手(25)の伸び悩みも、大きなネックとなっている。

ドロ沼・西武の黒星が「ルーティンワーク」のように繰り返されている。前日3日に14安打を放ちながら2得点に終わった打線は相手先発・山下から3度の得点機を作ったものの決定打が出ず、7回5安打無得点。後続のリリーフ陣も攻略できないまま終わった。オリックスとの今カード2連戦は計21安打で、わずか2得点。適時打は初戦に柘植が放った1本のみという体たらくだった。

先発の隅田は今季9敗目を喫し「ボール自体は良かったが真っすぐも、変化球も要所で真ん中に入ってしまったところをしっかりと打たれてしまった」と反省したが、打線の援護を得られなかった感も否定できない。

いずれも12球団ワーストとなるチーム打率2割9厘、同48本塁打、285得点(1試合平均2・4点)の「貧打解消」は来季以降、チーム再建の大きな課題となるのは言うまでもない。だが突き詰めると「次の4番打者をどう育てるか」という難題にぶち当たる。

チームの前4番・山川がソフトバンクへFA移籍し、昨季の助っ人マキノンも韓国球界へと去った。その一方で今季は新外国人野手のアギラー、コルデロが鳴かず飛ばずで、新たに4番を任命されたのべ10人の打者が代わる代わる起用されるなど〝軸のなさ〟ばかりが浮き彫りとなった。

ブレークが期待され続けている2020年のドラフト1位・渡部健人内野手(25)は、3日のオリックス戦から5月以来の一軍昇格。ところが当日に「6番・一塁」で先発出場しながら4打数無安打3三振を喫し、渡辺監督代行ら首脳陣のため息を誘った。3つの空振り三振はいずれも簡単に追い込まれ、最後は注文通りにボールゾーンへ変化球を落とされた挙げ句にバットが空を切らされるというプロの打者としては「初歩的な凡プレー」だった。

チーム関係者が「渡部の課題は変わらない。追い込まれてからのオプションが少ない」と嘆くように、一軍クラスの投手に対応する技術と思考のレベルが追いついていない証拠だ。

大卒4年目でプロ通算71試合出場、打率1割8分2厘、7本塁打、27打点、84三振(いずれも4日現在)はその期待度から見てあまりにさびしい数字。同時期(17年)の山川はシーズン途中からメヒアを押しのけ一塁のレギュラーを奪うと、2か月連続月間MVPを獲得するなど78試合で打率2割9分8厘、23本塁打、61打点の活躍で4番への階段を駆け上がっていった。

再建に向けた課題の1つが来季の打線の中軸、4番をどう作っていくかだろう。当面は外国人選手に頼らざるを得ないが、球団の歴史的にも長く活躍できる和製4番をどう育てるかは、真のホームラン打者が〝絶滅危惧種〟となって久しい近年の球界の大問題。西武だけが抱えるテーマではないにせよ、そこをクリアできたチームが大きなアドバンテージを握ることになる。この難題を克服できなければ、当然ながらライオンズにも明日はない。

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