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【日本ハム】首位ホークスに大逆転勝利で連勝 新庄監督が着々と進める「CS下克上シナリオ」

東スポWEB 2024年9月5日 5時10分

一発逆転はあるのか。パ2位の日本ハムが9月に入り、CS突破に向けた「予行演習」を着々と進めている。4日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)は3点を追う9回に怒とうの猛攻で一挙6得点を奪ってひっくり返し、8―5と大逆転勝利。それでも首位ホークスとは9ゲーム差でリーグ優勝は絶望的な状況だが、このまま仮にVを逃しても〝下克上〟からの日本シリーズ進出を画策しており、確かな手ごたえをつかみつつあるという。そのシナリオとは――。

Vロードを走る鷹に強烈なダメージを与えた。3点ビハインドで迎えた9回一死二、三塁から田宮と石井の連続適時打が飛び出して1点差とすると、万波の遊ゴロの間に三走がかえって同点。さらに水谷が勝ち越しの左前適時打、清宮もトドメの11号2ランを右翼スタンドへ叩き込み、一挙6得点で相手を撃沈した。

これでチームは首位ソフトバンクに今カード2戦2勝。それでも試合後の新庄剛志監督(52)は「相手チームの気持ちの面では『ハム、ファイターズは嫌だな』っていう気持ちにはさせたこの2戦だと思うんですけど…。でも短期決戦は関係ないですね。そういうのは」と後のCSでの戦いも見据え、冷静だった。

首位とは9ゲーム差。現実的な観点から言えばミラクルVはさすがに厳しい。そうした背景もあり、チームは2位からの「CS下克上」で日本シリーズ進出を狙うべく準備も進めている。一つの例が打撃好調を維持する清宮幸太郎内野手(25)の「左翼起用」だ。

清宮の本職は内野手。今季は左翼守備にもたびたび就いているが、守備面には不安がある。一つのミスが命取りになりかねない短期決戦での「左翼・清宮」はギャンブルとも言える。だが新庄監督はCSファーストステージを突破した場合、あえて清宮を「左翼固定」する可能性があるという。その理由は攻撃陣の強化だ。清宮を本職の一塁、または三塁にすると必然的に一塁・マルティネス、三塁・郡司のどちらかを先発起用できなくなる。これは得点する上でチームにとって痛手。そこで守備に目をつぶってでも清宮を外野で積極起用していくというのだ。

球団OBの一人は新庄監督の胸の内をこう分析する。

「仮に日本ハムの本拠地・エスコンでCSファーストステージが開催となれば天然芝と強烈な照明への対策が必要なため、清宮の外野守備は回避するかもしれない。ただ、ソフトバンクがVならばファイナルステージは会場が人工芝で照明もそれほど気にならない(みずほ)ペイペイ(ドーム)になる。守備に不安があるとはいえ清宮でも外野は十分こなせる。新庄監督は、その辺りを見据えて4日からのソフトバンク2連戦で清宮を左翼で先発させたのだろう。今から試合で慣れさせておけば本人も不安を軽減できるし、郡司、清宮、レイエス、マルティネスと並ぶ攻撃陣の方がソフトバンクにとっては脅威だ」

さらに攻撃面では相手投手陣の状況に応じて足を絡める攻撃の徹底も試みようとしている。その布石が江越大賀外野手(31)の一軍昇格だ。今季開幕から打撃が低迷した江越は二軍でも48試合の出場で打率2割1分7厘、3本塁打、7打点と結果を残していない。それにもかかわらず、新庄監督がシーズン終盤の3日に突如一軍に呼んだ背景には江越の武器である俊足と守備力を短期決戦で活用するためだろう。

「現在、チームの代走要因は球界屈指の俊足・五十幡だが、彼は本当に1点を取りに行く場面に起用するため試合中盤では使えない。そこで新庄監督はもう1人、常に足を使える江越をベンチに入れて来たるべく短期決戦に備えているはず。足を絡めた攻撃は新庄監督が最も得意とするものですし、相手投手陣に確実にプレッシャーを与えられますから。真っ向勝負では日本ハムに勝ち目はない。その意味でも今から江越を使った走塁面での奇策を練っているのかもしれません」(前出OB)

2016年に日本一になって以来、低迷が続く日本ハム。悲願達成のための入念な準備は始まっている。

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