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【ザ・グレート・カブキ連載#15】メークをシャワーで落としていたらひらめいた!毒霧誕生!

東スポWEB 2024年9月11日 16時2分

【ザ・グレート・カブキ 毒霧の真実(15)】1980年の暮れ、マネジャーを務めるゲーリー・ハートのアイデアをキッカケにし、自分は「ザ・グレート・カブキ」に“変身”しました。最初に取り組んだのはメークです。でも実は、あまり苦労しなかったんですよ。鏡を見ながら「こんな感じかな?」って思い付きで描いたらそこそこうまいことできた。“怖そうに描けばいいや”みたいな感じで赤や緑を入れていきました。

結構器用なんですよ。頭巾とかコスチュームも自分で縫って作ったりしていましたから。ヌンチャクは、カブキになる少し前からやっていました。ロサンゼルスにある自宅の向かいの子供が道路でやってたんですよ。映画でも見たんでしょうね。それで「お前、うまいな」って言ったら「簡単だよ。こうするんだよ」って教えてくれたんです。そしたら2時間くらいでヌンチャクが扱えるようになった。それから「これは面白いな」と。リングでやってるヤツもいないということで取り入れることにしました。

毒霧が生まれたのはカブキになって数か月がたってからです。今はみんな毒霧をするけど(笑い)、毒霧がはやる前に、日本人のヒールは相手に塩を投げつけてたんですよ。お相撲で塩をまくところからきていたんです。でも70年代にはそれももう古くなっていて…。ずっと「塩に代わる面白い物は何かないかな」と考えていました。

そんなとき、メークをシャワーで落としていたらひらめいたんです。米国は日本よりシャワーヘッドが高い所にあるでしょ? だから浴びているときにどうしても顔を上に向けるので、口に水が入る。それをなんとなく、ライトに向かって吹き出したら、虹がかかったんです。そのときに「これだよ、これ!」って。

それから「どうやったらうまく吹き出せるんだろう」って試行錯誤をしました。いろんな色を付けてみたり、ライトによってどういう見え方がするのかを試したり…。その結果、相手がコーナーから飛んだとき、下から吹き上げると毒霧が照明をきれいに受け止めて、光の筋が「スーッ」と見えることがわかったんです。しかも、それなら相手はもろに毒霧の中を通らなきゃいけないですからね。

あとは色も、緑だけじゃ面白くもなんともないから赤に変えるようにしました。赤なら血の色にも見えるし、観客も「どうなってるんだ?」って興味津々になるじゃないですか。でも、ここまでいろんなレスラーがやるようになるとは思わなかったですよ(笑い)。

ほかにもオーストラリアで手に入れた日本刀とか、手作りの頭巾や衣装とか、いろいろ考えましたよ。こうしてスタイルが固まってくると、カブキは米国で一気に人気が爆発したんです。

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