セ首位の巨人が１２日の２位・広島との直接対決（マツダ）に５―０で零封勝利を飾り、４ゲーム差に突き放した。
先発した戸郷は６回無失点の好投。８回二死一、二塁で守護神・大勢を投入する阿部慎之助監督（４５）の〝執念継投〟でスイープに成功した。指揮官は「あそこはもう昨日の試合を見て。１つの四球が致命傷になる時があるから、そこでスパッと代えました」。前夜の試合で自軍が９回に９得点を挙げる逆転劇を教材にしたことが奏功した。
それにしても、マツダスタジアムは鬼門中の鬼門だったはず。同球場で同一カード３連勝を飾ったのは２０２０年以来だ。しかもこの日の勝利で今季４勝４敗２分けとし、鬼門を突破した格好となった。その原動力の一つには鯉名手を〝マネ〟したことが挙げられる。
投手力を武器にロースコアで勝つ広島に対抗するには堅守が必要。内野に芝と土部分があるマツダではセ最少失策の巨人内野陣が、これまで数多くの失策を重ねてきた。５月に３連敗した際は３戦で３失策を喫したほか、記録に残らないミスも出ていた。
その同球場で今季初勝利を挙げたのは７月９日。その際に、実は川相内野守備コーチが「相手の菊池選手の守備を見ると打球に対して前にいかず、時には後ろに下がっている。あの動きを参考にすればいい」と内野陣に教示していた。イレギュラーする打球への対策として、１０年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得した相手二塁手の動きを取り入れたという。
あれから２か月ぶりとなった今回は、二塁手の吉川や遊撃手の門脇がゴロに対して捕球するギリギリまで目を離さずに対応。二遊間コンビは３戦連続無失策で勝利に貢献し、門脇は「いつも以上に足を使う意識。意識しまくるくらいで練習から試合までやってました」と明かした。
３連戦の間、川相コーチは試合前のノックを終えると、自らトンボを手にして三塁から一塁まで入念に土をならしていた。Ｖ奪回を勢いづかせる３連勝の裏には同コーチの思いも詰まっていた。