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【阪神】大竹耕太郎 ヒーローインタビュー後に突如流した涙「いろいろ言われてきたけど…」

東スポWEB 2024年9月17日 5時8分

涙のワケとは――。2位・阪神は16日のヤクルト戦(甲子園)に3―0と4連勝を飾り、貯金を今季最多の11とした。勝利の立役者となったのが先発・大竹耕太郎投手(29)だ。ところが、6回3安打無失点の文句なしの快投で今季10勝目をマークにもかかわらず、試合後に突然、涙を浮かべ言葉を詰まらせた。

ヒーローインタビューを終え、ロッカーへと続く通路での囲み取材の最中だった。昨季の12勝に続き2年連続の2桁勝利。今季との意味合いの違いについて質問を受けると「去年1年間投げて、今年は無理だろうとかいろいろ言われてきたけど…。それでも、なんていうんですかね…。すいません…」と言うと、20秒ほど沈黙し、涙した。

落ち着くと「キャンプに入るくらいの時は肩の状態も良くなかったので。不安はありましたけど絶対、今年もやるという強い気持ちでやってきた。周りの方々の支えもあり10勝できた」と言葉を絞り出した。

常に注目される阪神で優勝争いをしつつ継続して結果を出すことの難しさ、重圧、責任。さまざまな感情が大竹の脳裏を巡ったようだ。

それでも壁を乗り越えた左腕。その原点にあるのは新人時代に「ドンケツ」とされた評価を覆してきたことにある。

大竹は2017年ドラフトでソフトバンクの育成4巡目で早大からプロ入り。背番号「133」からスタートした。当時の久保康生二軍投手コーチから「今のままでは厳しいな。周りを見渡して分かるやろ。自分がシンガリ(最後尾)やなって」と鋭く事実を突きつけられた。

ドンケツである現実を受け入れた大竹は、久保コーチと一から地道な練習に取り組むと、ホークスで支配下登録、先発ローテーションを勝ち取った。その後、出場機会に恵まれず、現役ドラフトで加入した阪神ではチームに欠かせない存在に成長した。

この日は初回二死満塁のピンチを背負ったものの左翼・前川のフェンス激突の超美技にも助けられ無失点。このプレーにも「うれしかった」と心を打たれた。得意の超スローボールも駆使し、対ヤクルトは通算8勝無敗とキラーぶりを発揮した。

首位・巨人を2ゲーム差で追走する岡田虎は、逆転連覇へ負けられない戦いが続く。そんな中で大竹の熱き涙は虎ナインにどう映るのか。技術も体力も勝つためにはもちろん必要不可欠。それでも人にとって重要なのは「心」だ。熱き心の左腕が勝利の女神を振り向かせることができるか。

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