女子プロレス「スターダム」のワールド王者・中野たむが、永遠のライバルとの約束を果たす。１４日の大阪大会ではシングルリーグ戦「５★ＳＴＡＲ ＧＰ」覇者の舞華を退け初防衛に成功。鈴季すず（２２）とのＶ２戦（１０月５日、愛知・ドルフィンズアリーナ）も決まり、団体の底上げに本腰を入れる王者の発奮材料は、米ＷＷＥ・ＮＸＴでデビューを飾ったジュリア（３０）の存在だ。
５★ＳＴＡＲ公式戦を６戦全敗で敗退した中野は、全勝優勝した舞華をＶ１戦で撃破。汚名を返上した王者は「失敗の先に成功があることを、私がこのベルトとともに見せていく。そして、これからたむがスターダムもベルトも守り続けて、世界一の団体にする」と堂々と宣言した。
昨年１０月に左ヒザを負傷し、同王座返上を余儀なくされた。今年２月に復帰し、再び団体をけん引する決意を後押ししたのは、３月の退団まで幾度となく死闘を繰り広げてきたジュリアの存在だ。
くしくも最高峰王者に返り咲いたタイミングで、ジュリアはＷＷＥの第３ブランドに加入。１０日（日本時間１１日）に放送されたＮＸＴで元ＷＷＥタッグ王者のチェルシー・グリーンに勝利し、鮮烈デビューを飾った。
ライバルの映像をＳＮＳで目にしたという中野は「頑張ってほしい。すごいなと思ったし、日本の女子プロレスの素晴らしさを米国で見せつけてくれたらいいと思います。刺激になりました」と賛辞の言葉を贈る。
ただし、海を隔てても２人のライバル関係は続いている。「けど！」と言い出すや「顔が生理的に…。というか、見たくないのに映像がたくさん出てくるから『うるせえ！』と思って、ジュリアってワードを全てミュートにしてやりました。まあちょっと悔しい気持ちもありますけどね…」と口をとがらせる。
一方で恩恵も受けたといい「ジュリアとたむの髪切りマッチ（２０２１年３月３日、日本武道館）を見たＷＷＥファンの方々がたむのＸをフォローしてくれたみたいで、１０００人くらいフォロワーが増えました！ だからどんどん活躍してもらって、私のフォロワーを増やしてくれたらいいなと思ってます」と笑顔で語った。
ジュリアの退団直前、３月２０日名古屋大会で実現した最後のシングルは壮絶な死闘となり、時間切れドローで終わった。実は試合後、２人で〝ある約束〟を交わしたという。「ジュリアは米国で世界一になること、私はスターダムを世界一の団体にすることを約束しました。たむは今までジュリアへの悔しさを力に変えて、夢をつかんできた。だから、強い意志を持って約束を果たします」
また、同試合のリング上でジュリアから言われた「お前の引退試合の相手は私がやる」という言葉には、いまだ引っかかっている様子。「私が引退したら、ジュリアの引退は誰がやるのよ。だから引退する時は、お互いが散るまで時間無制限でやり尽くす。東京ドームとかでできたらいいな…。それぐらいの場所でできるように私も頑張る」と気合を入れ直した。
最後に「ジュリアと出会えてよかった…」とつぶやいた中野。２人のライバルストーリーは永遠に続く。