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【ソフトバンク】投打のMVP有原 & 近藤に加え…OB加藤伸一氏が称える小久保監督の〝我慢〟

東スポWEB 2024年9月24日 6時3分

4年ぶりのリーグ制覇を決めたホークス。シーズン序盤から圧倒的な強さを見せつけ、最後まで危なげなく走り切った。ここでは本紙評論家・加藤伸一氏に今季のホークスの総評として「投打のMVP」「ポイントとなった采配」など、優勝の要因について語ってもらった。

【インハイアウトロー・加藤伸一】年間通じて安定した成績を継続した近藤がやはり打のMVP。ごく短期間の不調はあったものの、ここで1点というところで非常にいい仕事をした。彼ほどの打者からすれば、3割1分4厘という数字には満足していないかもしれないが、投高打低の中での成績であり、数字以上に印象の強い、勝利に貢献する打撃が目立った。

投のMVPは有原。千賀が抜けて以来不在だった投手陣の柱の役割を果たした。投げている球だけ見れば、彼は決して目立ったパフォーマンスをするタイプではないが、投球を見ていて感じ取れるものがあった。長いイニングを投げることも多く、気迫ある熱投でチームにいい影響を及ぼした。

選出した2人はともに移籍2年目のシーズン。移籍初年度の選手というのは「やらなきゃいけない」という気持ちが強くなり力が入りすぎてしまい、なかなか平常心になれない傾向にある。今年はある程度チームも冷静に見えてきて、本当に落ち着いて力が発揮できたシーズンだったのではないか。

年間で見れば、やはり開幕スタートダッシュであれだけの貯金を稼げたことが大きかった。貯金の余裕がいろいろな戦力を試すことにつながった。一軍のフィールドで多くの若い選手を試しながら戦力をつくっていくことは非常に難しいのだが、ここ数年のホークスの課題であった「若手を育てながら勝つ」を体現した。一軍とファームの連携もうまく取れているように見える。

小久保監督の芯のある采配も光った。何よりも大きかったのは「4番・山川」を動かさなかったこと。それがリーグ制覇という結果ににつながったと私は思う。山川が不調だった時期にそこを動かしていたらと思うとゾッとする。山川と小久保監督の信頼関係、そこで新たに4番に入る選手の重圧。負の連鎖でボロボロといっていた可能性もあった。

指揮官自身が選手時代、4番を経験していることもあるだろう。生え抜きではない巨人という厳しい環境でも4番に座った。自分の実体験を踏まえて山川を動かさなかった、その我慢によってチーム全体のブレを少なく保つことができ、近藤も5番として非常に安定した数字を残せた。(本紙評論家)

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