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【阪神】伊勢孝夫氏が〝サトテル批判〟に猛反論「自分の役割を果たそうとしたまでよ」

東スポWEB 2024年9月25日 5時8分

セ・リーグ2位の阪神は天王山となった首位・巨人との2連戦(22、23日=甲子園)を1勝1敗で終えた。今後の直接対決はなく2ゲーム差に戻り、逆転優勝は極めて厳しくなった。0―1の僅差で痛恨の敗戦を喫したカード第2戦で、大きな批判を浴びることになったのは3度の得点機で凡退した佐藤輝明内野手(25)だった。だが、勝敗を分けた試合終盤の攻防に注目した本紙評論家の伊勢孝夫氏は、世間にあふれかえる〝サトテル批判〟に猛反論。虎の背番号8を全面的に擁護した。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】数字を見れば当然だけど、これで阪神は相当厳しくなったな。残り5試合を全勝しても、巨人が4勝2敗以上なら勝率差で追いつけない。

でもな、岡田監督ならまだこの状況は〝想定内〟のような気がするんや。ペナントの本番はまさに今、ここからやぞ。野村ヤクルトで初優勝を果たした1992年のシーズンもな、最後の数試合がホンマにしんどかった。今の巨人も同じはずやで。ここまできたら、最後の最後まで何が起こるか分からない。諦めずに目の前の一戦を勝ち切っていけば…。まあ、ここまできたら最後まで楽しませてもらおうやないか。

佐藤輝が随分と批判の的にされているな。カード第2戦。6回無死二塁の第3打席で浅い中飛に倒れ、走者を三塁に進めることすらできなかった。次打者の前川が〝犠飛には十分〟な深めの中飛だっただけに「一死三塁をつくれていれば…」という声が多いのは分かる。0―1の僅差で負けてしまっただけに、感情的にはなおさらそうなるよな。

でもな。あの打席、佐藤輝は自分の役割を果たそうとしたまでよ。スコアは依然、0―0の同点。阪神先発の高橋は快刀乱麻の投球を続けている。ここで無死二塁の絶好機が到来。こんなところで阪神ベンチが「進塁打を打て」なんて指示を送るとは俺には思えんわ。

ノムさんだってそうだった。似たような状況で無死二塁。こういう場面でノムさんはよく「進塁打なんて余計なこと考えるな。ノーアウトなんやからここからの3人で1点取ればええ。ヒット打つことだけ考えとけや」って指示を出してたわ。ネクストにいる打者へそれを伝えにいくのは打撃コーチの俺の役目やったからな。右方向への進塁打を意識するのは、少なくとも2ストライクまで追い込まれてからで十分よ。

佐藤輝は初球の内角低めに沈むカーブを見送ってカウント1―0。俺は「おお。よう今の球にバット止まったな。集中できてるわ」って思ったよ。巨人バッテリーとしては次の球でカウントを整えるためゾーン内で勝負してくる可能性は高い。キャッチャーは外角低めにミットを構えた。ところがこれが甘く入ってほぼど真ん中へのストレート。逆に佐藤輝は意表を突かれて、打球が詰まってしまったような気がするわ。

仕留めきれずに浅いセンターフライで終わってしまったんやけど打撃フォーム自体はこれまで通り、力みもなく良かったと思う。このへんは紙一重としか言えんよ。月間18試合で2割7分5厘、13打点、4本塁打をマークしているバッターを責める気にはなれんな。

決勝の1点はその直後の7回。無死一、三塁から外角高めに外れた球を巨人・坂本が捉え右前に運んだ。左投手の外角高め直球ってのは、右打者からすれば一番〝反応で合わせやすい〟球なんよ。ただあの決勝打は技術どうこうちゃうな。今や数少ない、原巨人黄金期を知る百戦錬磨のベテラン・坂本の意地と精神力よ。佐藤輝に足りなかったのはそこやろうな。この悔しさを成長の糧にすればええ。まだまだこれから先がある選手なんやし。

(本紙評論家)

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