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石ちゃんはモデル20周年!「洋服のサカゼン」が進める〝大改革〟 ジャンボたかお起用で新風も

東スポWEB 2024年9月26日 18時13分

お笑いコンビ「ホンジャマカ」の石ちゃんこと石塚英彦(62)がアンバサダーを務めることで知られる大きいサイズの洋服を扱うアパレル企業「洋服のサカゼン」が“大きな”改革を進めている。流通ウォッチャーの渡辺広明氏とともにそのキーマンを直撃。モデル兼敏腕広報の素顔とは――。

サカゼンが大きいサイズを扱うようになったのは昭和の終わりごろ。国技館の近くにある馬喰町本店には力士の来店が多く、「僕らの着られる服がない…」という切実な思いをくみ取った創業者・坂本善重郎会長(故人)が大きいサイズの服を充実させた。すると力士のみならず大きいサイズのリピーターが増え、徐々に大きいサイズを扱う事業が経営として軌道に乗り始めた。

「サイズが大きいと服を自由に選べないんです。その苦労はやっぱり普通サイズの方にはなかなか理解してもらえません。私は大学生のときにサカゼンを訪れてファッションの楽しさを知り、いつしかアルバイトとして働きそこから正社員となりました」

こう語るのは坂善商事株式会社店舗営業本部の加藤俊彦氏(39=身長188センチ、体重100キログラム)だ。実は石ちゃんが2004年にアンバサダーになったのも本人があちこちで“大きいサイズの聖地”とサカゼンの魅力をアピールし、同社がオファーを出したことがきっかけだという。それから20年が過ぎ今なお“会社の顔”として活躍する石ちゃんについて「サカゼンにとって神的な存在」と社員は口をそろえる。

しかし、紳士服も幅広く取り扱う同社にとってコロナ禍が大きな打撃となった。オフィスカジュアルの浸透でただでさえ紳士服需要が減っている中、リモートワークの推奨でさらにスーツは買われなくなり、頼りの交通広告や折り込みチラシを打っても従来のような販促効果を得られなくなった。

サカゼンに入社して11年強、渋谷や新宿の旗艦店の販売員として勤務していた加藤氏も現場で危機を感じていた。

「現場でお客さまからいろいろな声をいただいてもなかなか上に届かない。私はスタイリストさんと仕事をする機会も多くて、たとえば衣装をリースするにあたってプレスルームはないのかなんて話がありました。会社の内部から変えないといけないと思ってCOO(最高執行責任者)に直電して『30分だけ私の提案を聞いてくれませんか?』とお願いしました。初めてパワポで提案資料を作って99%の情熱と1%の資料で向き合いました」(加藤氏)

その熱い思いが通じ、加藤氏は2年前に店舗責任者から現在の部署へ異動。ちょうど社内の組織編成の見直しなども重なり、外部から役員を招くとファミリー企業の雰囲気が変わった。加藤氏を含め、会社全体で事業の改善と最適化を行いつつ、石ちゃんの“後継者であり共にサカゼンを盛り上げてくれる顔”となる新たなアンバサダーを探し始めていた。

「お笑いコンビ『レインボー』のジャンボたかおさんがある番組内で弊社を愛用してくださっていることを明かしていて、実は私も接客に携わったことがあります。ジャンボさんには若いファンが多いしポテンシャルも高い。これはアンバサダーに就任していただくチャンスだなと思って今年の頭から交渉が始まり、ようやく4月に発表できました」

ここで注目すべきは石ちゃんとの両立を図った点だ。

「石塚さんにはキービジュアルとしてグラビアっぽいカットをお願いしています。この秋冬カタログだと、それこそゴッドファーザー的な感じで、スーツ、カジュアル各ジャンルの顔となるページを飾ってもらいました。ジャンボさんは『東京カレンダー』っぽい感じで、服のモデルっぽいカットが多いですね。年齢の違う2人が同じカタログにいることで、サカゼンと大きいサイズの方は運命共同体なんだというイメージに近づいていきたいと思ってます」

熱く語る加藤氏もまた自社モデルとしてカタログに登場する二刀流だ。

「まだまだ勉強中ですが、自分をかっこよく見せるポーズと服をよく見せるポーズって違うことに気づきました。写真ひとつでSNS上でも反応が違いますし学ぶことばかりです」

サカゼンの大きいサイズは3L~9Lで、一部店舗では10Lまで取り揃える。ここ数年はファッショントレンドとしてビッグシルエットが流行したため、サカゼンでもここ2年で売れるサイズがワンサイズ上がっているという。

店舗も視察した渡辺広明氏は「大きいサイズと聞いてまずイメージするのはぽっちゃり体形だけど、実はスポーツマンのようながっちりの人まで入れると商圏は決して小さくありません」と今後の可能性に言及。「現時点で大きなサイズのお客さまが自然と集まるリアル店舗はあまりないので、サカゼンさんは“答え”、つまり今後の商品開発のヒントも多く持っている」と期待を込めた。

サカゼンは現在、原点である相撲への恩返しにも取り組んでいる。わんぱく相撲や地方巡業に協賛することでロイヤルカスタマー育成につながればという未来へつながる大きな夢を追いかけている。

☆わたなべ・ひろあき 1967年生まれ。静岡県浜松市出身。「やらまいかマーケティング」代表取締役社長。大学卒業後、ローソンに22年間勤務。店長を経て、コンビニバイヤーとしてさまざまな商品カテゴリーを担当し、約760品の商品開発にも携わる。フジテレビ「Live News α」コメンテーター。Tokyofm「ビジトピ」パーソナリティー。

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