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鉄腕バルドナード 熱すぎる〝チーム阿部〟への忠義「70試合でも必要なら投げる」【巨人優勝手記】

東スポWEB 2024年9月29日 11時3分

巨人が4年ぶりとなるV奪回を果たす原動力となったのは、課題とされた救援陣の復活も見逃せない。その中でも最も貢献したのが2年目左腕、アルベルト・バルドナード投手(31)だ。チーム最多の58試合に登板し、大勢が故障離脱していた間は〝代役・守護神〟として9セーブをマーク。チームメートから「バルさん」と呼ばれるG救援陣の要が喜びの独占手記を寄せた。

広島に勝ってジャイアンツがリーグ優勝することができた。優勝という経験は何事にも代えがたい素晴らしい経験。それができたというのは、本当に誇りに思う。自分の野球人生にとっても、素晴らしいモノとなったよ。自分はこれまでメキシコのウインターリーグなど何度か優勝の経験はあったけど、これだけ長いシーズンを戦って優勝したのは自分にとって初めて。本当にうれしいよ。

最大のターニングポイントは広島との敵地3連戦(9月10~12日、マツダ)で3連勝できたこと。あれで僕の中で優勝が現実的になった。そういう意味で広島戦は重要な試合だった。特に9回に9点を取った2戦目(11日)の勝ち方。自分の野球人生の中でも9回にあれだけ点数を取って勝った試合は見たことがなかった。あの試合を勝てたことは、優勝争いにとってすごく大きかった。

前半戦の5月に大勢がケガでいなくなり、クローザーという重要なポジションを任された。あの時は「それだけチームに貢献できる」ということなので「うれしい」という気持ちが大きかった。チームに貢献することで非常に喜びを感じながら投げることもできたし、その期間は「重要なポジションで楽しんで、チームに貢献できるんだ」という思いをかみ締めながら投げていた。長い期間を戦ったけど、自分にとっても大きな、気持ちの入った期間だったよ。

大勢は才能のある選手でクローザーの経験も豊富。改めて「クローザーはどうだよね」とか「どういう役割か」というのは分かっているので、その話はしなかった。ただ、彼がチームに戻ってきた時、お互いに「戻ってきて良かったね」「ここまでカバーしてくれてありがとう」というやりとりはあった。自分たちにはそれだけで十分だった。

阿部監督が自分を信頼してクローザーを任せてくれたことは本当にうれしかったし、感謝している。監督はクローザーという重要なポジションは誰が的確かと考えられたと思うけど、そこで自分を選んでもらったのはうれしかった。

これまで数多くの監督の下でプレーしてきたけど、阿部監督は何よりも勝つことを考えている監督だと思う。その中で選手のことを本当に信頼してくれる。自分も失点してしまった試合もあったけど、すぐにまた次の試合で投げさせてくれた。常に選手のことを信頼してくれることが選手のモチベーションにつながっているし、監督のポジティブなエネルギーがチームに浸透している。勝利に貪欲でどうやったら勝てるかを常に考えていて、それがいい形で広がっている。素晴らしい監督だと思う。

投手陣を支えてくれたのが、杉内投手チーフコーチと内海投手コーチのお2人。本当に素晴らしいコーチで毎日、野球だけじゃなくていろんなことを聞いてきてくれて、自分のことを気にかけてくれた。僕ら外国人投手にとって本当に大きな支えになった。気分も楽になるし、そういう配慮、気を使ってくださることは本当に助かった。投手陣みんなもそうだけど「どう元気?」と声かけをしてくれるのは本当にありがたかった。

58試合とチーム最多登板ができたのは、まずは健康に投げられたということ。神様に、健康な状態で1年間投げさせてもらったということに感謝したい。加えて投手としてそれだけ投げられるチャンスがあるということは、それだけチームに貢献しているということにつながってくると思うので、その意味では非常に満足しているよ。シーズン中も50試合と言わず、60試合でも65試合でも70試合でも必要と言われれば投げる。そういうつもりでやってきた。登板数を重ねられたのは、そういう意味で良かった。

これだけ投げられた要因は、毎日の練習をちゃんとやるのは当然だけど、トレーナーさんたちのおかげ。体のケアであったり調整という意味では岩垣(光洋)トレーナーには毎日体をチェックしていただいたり、ケアしていただいたり、エクササイズも教えていただいた。当然ほかのトレーナーさんにもたくさんお世話になって感謝していますし、岩垣トレーナーには毎日のチェックをルーティン的に行ってきたので、彼のおかげで1年間健康な体でいられた。

次の目標はもちろん日本一。野球をやっているうちは優勝が夢ですし、やっている以上は誰でもたどり着きたいところだと思う。日本という素晴らしいリーグにいるからこそ達成したい。

パナマ代表では2大会連続となる2026年WBC出場を目標にしている。もちろん自分で決められることではないけど、始まった時からずっと出たいと思っていた大会。国際大会としては一番の大会だと思うし、野球をやっている以上は出たい。国を代表する経験も素晴らしいもので、何より自分が出たら、野球選手になるために応援してくれた父も母も喜んでくれる。

野球以外での夢は、ここまで野球のキャリアを続けてきて大変な日々だったので、引退後はしっかり家族を作って、ちょっとゆっくりできるような、そういう環境に身を置きたいな。

自分だけで決められることではないけど、もちろん来年もジャイアンツでプレーしたい。ジャイアンツを出て何か違うことをしたいとか、そう言ったらウソになる。ジャイアンツでの今までのサポートや経験できたことに大変感謝しているし、自分が決められるのであれば1年と言わず、何年でもジャイアンツでプレーしたいね。(巨人投手)

☆アルベルト・バルドナード 1993年2月1日、パナマ共和国コロン出身。左投げ左打ち。直球の最速は158キロ。2021年にナショナルズでメジャーデビュー。23年7月に巨人に加入すると21試合に登板し防御率1・69、7ホールド。今季はチーム最多の58試合に登板し防御率2・44、26ホールド、9セーブ。身長196センチ、122キロ。31歳。

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