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柔術家・村上和成を〝平成のテロリスト〟に一変させたアントニオ猪木さんの問いかけ

東スポWEB 2024年10月1日 7時3分

【取材の裏側 現場ノート】10月1日は故アントニオ猪木さんの命日。〝燃える闘魂〟が旅立ってから、早くも2年がたった。この間、多くの関係者が猪木さんの思い出を語ってきたが、ほとんど話さない弟子もいる。

ストロングスタイルプロレスのレジェンド王者で〝平成のテロリスト〟こと村上和成もその一人だ。猪木さんが立ち上げた「UFO(世界格闘技連盟)」の一員としてデビュー。新日本プロレスと激しい抗争を繰り広げ、1999年の〝1・4東京ドーム事変〟として知られる橋本真也―小川直也戦後の大乱闘では集団リンチにあい病院送りになった。

村上は猪木さんについて「聞かれなかったから」と前置きした上で、こう話した。「弟子の中でも僕は特殊だと思う。ずっと一緒にいたわけではないし、本当に節目節目でもらった言葉や役割もそうだし(猪木さんにとって)特殊部隊の人間だと思うんですよね」

柔術家だった村上はプロレスに全く興味がなかった。ところが初代タイガーマスク(佐山聡)に紹介され、猪木さんと初めて会った際に「リングに絵を描いたことがあるか?」と言われて人生が一変した。「一瞬で手のひらに載っけられた。あの投げかけ、問いが僕の中でプロレスラーの始まり。『本能のままに戦え』とか少ないメッセージだけど、それに心を打たれて今もずっとやっている」と打ち明ける。

その後は橋本真也駐車場襲撃事件など卑劣なテロ行為に手を染め〝平成のテロリスト〟としてブレーク。ある日、猪木さんから「プロレス、面白いだろ」と声をかけられたが「『本能のまま』って言われ、プロレスは教えてもらっていないんで」と切り返した。猪木さんは怒ることなく「でも(自分のスタイルを)確立しただろ。フフフッ」と笑いながら去っていったという。村上は「猪木さんから、僕にしかないメッセージをもらっている。感謝しかない」と笑顔で振り返る。

一方、橋本が小川にボコボコにされた〝1・4事変〟の仕掛け人は、猪木さんとされる。当事者の村上に「猪木さんから命じられたのか」と問うと「命じられていない。僕は何一つわかってなかった。フフフッ」と笑い、去っていったのだった。

(プロレス担当・初山潤一)

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