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【陸上】田中希実が模索する「トップへの足掛かり」と「イメージ脱却」

東スポWEB 2024年10月7日 11時0分

新たな挑戦への決意とは――。陸上女子で五輪2大会連続出場の田中希実(25=ニューバランス)が単独インタビューに応じ、自ら掲げる「トップ・オブ・トップ」への思いを明かした。パリ五輪は1500&5000メートルで決勝進出を逃すも、ダイヤモンドリーグファイナルでは5000メートルで6位入賞。世界の舞台で猛者たちと対峙する日本女子中長距離界のエースは、東京で開催される2025年世界選手権を足掛かりに、さらなる飛躍を目指す構えだ。

――今季の活動報告会(9月25日)では「トップ・オブ・トップ」という言葉が印象的だった

田中 今季は全体的にどうだったかなと考えた時に、結果的にはあまりパッとしなかったけど、幸せだなと感じる瞬間が多かったので「トップ・オブ・トップ」の選手への憧れが強くなった。ただ、それは自分とは別物と捉えてしまっているので憧れという表現になっている。競技を楽しむという本質から離れてしまう怖さもあるけど、報われなくてもいいから追い求めたい気持ちが今は強い。その気持ちを無視せずに突き詰めることによって、楽しみたい気持ちが戻ってくるかもしれないなと分析してみて感じています。

――トップを狙う決意が固まった

田中 そうですね。トップの選手たちに触れることで、自分自身に与えてもらうことが多くてすごく幸せな気持ちになる。なので、私自身がそういった気持ちをいろんな人や選手に与えられる立場に行きたいし、幸せだと思う時間は一瞬で終わってしまうので、ちょっと寂しさが残ったりもする。寂しさや切なさをもう感じたくないので、自分自身が幸せを与える側に行ってしまえば寂しくなくなるんじゃないかなとの思いがあります。

――来季は東京で世界選手権が開催される

田中「トップ・オブ・トップ」を目指すという言葉ははっきりしていても、パリ五輪の時もいつの間にか本番がやってきたような感じだった。多分2種目(1500&5000メートル)で出場することになると思うが、今はオフなので明確な目標を設定する必要はないのかな。それでも、パリ五輪やダイヤモンドリーグなどで戦いたかったけど戦い切れていなかったので、戦えていた仮想の自分をイメージしながら、世界陸上に重なり合うようなイメージを持って、春先からのトレーニングに取り組んでいけたらなと思っています。

――イメージが重なればトップを狙えるのか

田中(女子やり投げでパリ五輪金メダルの)北口(榛花)さんとかを見ていて思うのが、一度世界陸上で結果を出してから、次の世界陸上や五輪につなげていた。まずは何か引っかかる大会でトップの一員になって、トップになっていったと思う。なので私はまず何かをつかむ大会が必要だなと感じている。今まではつかむよりも、かすったり、ちょっと見えたりくらいで終わるようなところだったので、東京の世界陸上はつかむ大会にしたいし、それを足掛かりにして4年後のロサンゼルス五輪にもつなげていきたいです。

――つかむとはどんな結果か

田中 実際にメダルを取るのが一番わかりやすい表現だが、届かなくてもあの選手はメダルクラスの選手だというのを日本だけじゃなくて世界中に認知してもらうようなレースをしたい。本当にラストのトップ争いに絡んだりとか、今は世界レベルのレースで入賞することが私の中ではスタンダードになってきて、パリ五輪で久しぶりにできなかったぐらいの感じだった。そういった印象は世界にも伝わっているとは思うけど、まだ主要選手ではなくてちょっと彩りを添えてくれる選手ぐらいの感じだと思うので、そのイメージから脱却したいです。(インタビュー・中西崇太)

☆たなか・のぞみ 1999年9月4日生まれ。兵庫県出身。小野南中2、3年時に全国都道府県対抗女子駅伝の8区で区間賞を獲得。西脇工高進学後も全国の舞台で活躍した。2021年東京五輪は1500メートルで日本勢初の8位入賞。23年4月にプロへ転向すると、同年世界選手権では5000メートルで日本勢26年ぶりの入賞を果たした。24年パリ五輪は1500メートル&5000メートルで決勝進出を逃したが、ダイヤモンドリーグファイナル5000メートルで6位に入賞した。153センチ。

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