Infoseek 楽天

増収増益SKE48は全員ベースアップ 藤澤信義オーナー「メンバーを大切にしていきたい」

東スポWEB 2024年10月12日 7時10分

【藤澤信義オーナー直撃インタビュー①】

アイドルグループ「SKE48」が10月5日で16周年を迎えた。名古屋最大のアイドルグループの現在地と今後の展望について実質的なオーナーである東証スタンダード上場企業・Jトラスト株式会社の藤澤信義社長(54)を直撃。30億円でSKE48を買収した理由や現在の状況、さらにメンバーの待遇面について話を聞いた。

――Jトラストの子会社で藤澤氏が会長を務める「株式会社KeyHolder」が2019年3月に芸能事務所AKSからSKE48を30億円で買収した

藤澤社長(以下藤澤) 他のグループも買収候補にありましたが、僕の地元(岐阜)にも近いですし、中部圏、愛知、岐阜、三重の人々の地元愛などを考えるとやっぱりSKE48一択でした。

――SKE48事業のM&Aについてはどのように評価してますか

藤澤 アイドル事業はとてもプロフィタブル(利益がある)だとか利回りが何パーセントだとかという考えでいくと、割高かもしれません。でもSKE48は我々のエンターテインメント事業のスタートです。SKE48を持っている会社として認知していただき、(ロックバンドの)Novelbrightなど所属タレントも増えていった。乃木坂46運営会社の間接的取得(注・20年6月にKeyHolderは「株式会社ノース・リバー」の全株式の取得を発表。ノース・リバーはアイドルグループ「乃木坂46」の運営会社「乃木坂46合同会社」の持分の50%を保有しているため乃木坂46合同会社はKeyHolderの持分法適用関連会社となった)にも影響していた部分もある。そういうことを考えると当時の判断は間違ってないと思っています。

――SKE48買収と同時期にNGT48の事件があり、19年から48グループの目玉イベントであった選抜総選挙が消滅。また20年からコロナ禍が直撃して握手会やコンサートができなくなった。正直、買収しなければよかったと後悔したことは?

藤澤 KeyHolderはもともとゲームセンター事業を行っていたんです。SKE48事業の買収は、ゲームセンター事業を全て売却して新たにエンターテインメント事業を始めるところからスタートしています。コロナ禍のときにゲームセンター事業を持っていたらもっときつかったかもしれません。そういう意味では運が良かったかなと思っています。またそのころは金融事業が非常に好調で、エンタメでマイナスでも金融事業ははるかにプラスなわけですよ。それにコロナのようなウイルスは人類が何万年も戦いあるいは共存してきたもの。いずれ収まるときが来るだろうという考えはありました。

――2月発売の32ndシングル「愛のホログラム」のセールスは70万枚(ビルボードジャパン調べ)を突破し、今年発売された48グループのシングルで最大の売り上げを記録。史上初めて〝AKB超え〟を果たしたが現在、SKE48事業は黒字ですか

藤澤 はい。コロナ禍後は前年比増収増益できています。コロナの前よりも良くなっているんじゃないですか。

――SKE48の実質的なオーナーから見たグループの特長は

藤澤 劇場やライブには年に2~3回ぐらいしか見に行けませんけど、地元と応援してくれるファンに支えられているというベースがあって、握手会もコツコツやっている。すごく底堅い、安定感のあるグループなんじゃないかと思っています。名古屋地区のテレビ局やイベントに出演するのはもちろん、キー局の番組に出演させることができるようしっかりと営業していかないと彼女たちの夢を叶えることにもならない。運営の人たちには外でどんどん仕事を取っていこうよということをこの1年は強く言ってますね。SKE48は乃木坂46と比較してもCDの売り上げってそんなに変わらないんですよ。でも観客動員やテレビの露出は全然違う。そこは何とか少しでも近づくように頑張っていくのが運営の仕事なんじゃないかと思います。もちろんメンバーにはしっかりと自分たちでスキルを磨いていくということは当然言っています。

――SKE48ではアイドル卒業後のセカンドキャリアにも力を入れている

藤澤 現役メンバーの待遇についてもいろいろと考えています。たとえば握手会があると毎回、違った衣装を着ていく必要がある。衣装のレンタルもあるんですけど、クリーニング代がかかるので握手会が続くと大変ということもメンバーから直接聞きました。仕事でやっていることなのでクリーニング代は全て廃止にしました。またうちのグループには美容系の会社もありますから、身だしなみに関わるものについては無料にしています。それと(衣装代、ネイル、ヘアサロンなどの補助という形で)5万円ぐらいベースアップしていますね。

――年間5万円ですか?

藤澤 毎月5万円です。

――それは全メンバーに対してですか

藤澤 全メンバーです。年間60万円ですから平均年収はかなり上がったと思います。メンバーそれぞれの仕事量によって収入は違ってきますが、大学を卒業するぐらいの年齢のメンバーから「せめて大卒の初任給ぐらいもらえないとアイドルを続けるのは難しい」と切実な声を聞くと「そりゃそうだよね」となりますし、職業としても選ばれない。生活できていける給料をちゃんと支払うようにしています。メンバーは社員に近い存在です。勤務形態上は個人事業主になりますが、社員と変わらず大切にしていきたい。出費は増えるけれども、それを何とかするのが運営の仕事。モチベーションを上げないといいものを作っていけないと運営サイドには強く言ってますね。

☆藤澤信義(ふじさわ・のぶよし) 1970年1月17日生まれ。岐阜県出身。東京大学医学部卒業。東証スタンダード上場企業「Jトラスト株式会社」代表取締役社長。Jトラストの持分法適用会社である「株式会社KeyHolder」が19年3月にSKE48を30億円で買収し、実質的なオーナーとなった。

この記事の関連ニュース