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「ゴミではなく人に向き合う!」高田馬場駅前で清掃を続ける早大「ロータリーの会」を直撃

東スポWEB 2024年10月13日 10時0分

独自のスタイル・分野で活動している大学サークル・部活の皆さんを取材する「直撃! ユニークサークル」をスタート。初回の〝ユニークサークル〟は、高田馬場駅前のロータリーを日々清掃し続けているという「早稲田大学ロータリーの会」だ。地道な活動内容や意外なゴミ、そして地域とのつながりの変化についてもじっくり語ってもらった。

まずはロータリーの会の活動を体験するために、取材当日は午前8時に高田馬場駅前へ。現地でトングを借り、記者も清掃活動に参加した。わずか数十分の間でも50本以上の缶がゴミ袋に収まっていくが、その大半はアルコール類。夜間に路上飲みが行われ、そのまま飲み捨てられたものが多いようだ。集めた缶とペットボトル、吸い殻の数は学生がその都度集計。SNS上では1週間で拾った数をまとめて公表するのがサークルの恒例となっている。

ちなみにゴミの量が増えるのは5月から7月にかけての、気温がある程度高い時期とのこと。また、1日単位では学園祭の早稲田祭と卒業式の後が最も多いという。過去には寄せ書きや色紙、花束が忘れられていたというから驚きだ。その翌年の卒業式では〝忘れ物〟の写真を用いて注意喚起を実施。先輩たちの失敗はしっかりと活用されていた。

2020年に設立したロータリーの会は、ロータリーでよく遊んでいたという初代幹事長の〝気づき〟が原点。その幹事長が実家に徒歩で帰っていた際に、道中の不法投棄されたゴミを見て、高田馬場の状況とリンクしたことがきっかけになったという。授業期間では月曜日から木曜日までの朝と、金曜の夜に清掃を実施。加えて企業や他サークル、地域との連携や、IoT化されたゴミ箱「SmaGo」の設置にも挑戦している。

通勤・通学中の人々も多い朝はまだしも、若者たちが集まる夜のロータリーの清掃は大変なのでは? 幹事長(取材当時)の平川花芽さんは「機能性で言えば朝拾った方がいいんです。それでもこっちの拾いやすさよりも、巻き込むことの方が大事かなと思っていて。夜だとこちらに対して『何してるの?』みたいなコミュニケーションが生まれますし」と語る。副幹事長(取材当時)の三好遥さんも「活動を始めたころは冷たい目で見られていたと聞いていますが、最近は少しずつ受け入れられて、共存できているのかなと感じます」と手ごたえを明かした。

活動を続けていく中で、特に変化があったというのは駅周辺の地域住民との関係性だ。多くの学生を抱える早稲田大では、さまざまなサークルが結成と解消を繰り返すのが日常。さらに4年で高田馬場を離れてしまう学生に対し、住民側から過度の期待は寄せられていない雰囲気があったという。それでもロータリーの会は地域の会議や清掃活動に積極的に参加し、少しずつ信頼を獲得してきた。現在では地域の人々とともに新宿区とのやり取りを進めるほか、企業から清掃活動の指南を求められるように。加えて高圧洗浄機で有名なケルヒャージャパンから試供品を提供してもらうこともあるという。

「成果だと感じたのは、行政の方に『住民票がなくても区民ですから』という言葉をいただいたことですね。地域の方や他のサークル・団体も含めて、関わっていただける方の数は増えました」(平川さん)

その上で、ロータリーにゆかりのあるOB・OGの存在にも着目。10月に行われる卒業生向けのイベント「稲門祭」でこれまでの活動について発表できるよう、準備を進めている。

ゴミの量という意味では、コロナ禍が明けロータリーに賑わいが戻ったことが影響し、劇的な変化は生まれていないとのこと。平川さんは「会に入ったころは私がいる間に解決しようと思っていたんですけど、実際に動いてみるとなかなかうまくいかないと気づきました」と正直な心境を告白。それでも「仕方ないやとは思っていなくて。人とのつながりを作っていければ、いずれは達成できるのでは」と前を向く。三好さんも「ゴミではなく人に向き合う」というサークルのスローガンを強調。路上飲みや〝ロータリー文化〟を単純に否定してしまうのではなく、より多くの方に高田馬場に愛着を持ってもらえるよう活動したいと意気込んだ。

押しも押されもせぬ有名学生街、高田馬場。その玄関口にあるロータリーを愛する学生たちの活動はこれからも着実に続いていきそうだ。

☆わせだだいがくろーたりーのかい 2020年に発足した、高田馬場駅前ロータリーの清掃を行うサークル。平日朝を中心とした定期的な清掃の他、地域住民や企業、学生と協力した多角的な活動を行っている。

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