突然の発表劇の裏に何があったのか。新日本プロレスのエースとして長年活躍し、社長も務める棚橋弘至(47)が、2026年1月4日東京ドーム大会で現役を引退すると14日の東京・両国国技館大会で表明。デビュー25周年記念試合で勝利を飾った直後の電撃発表は、プロレス界に大きな衝撃を与えた。大会後にはインタビューに応じ、引退の決断に至った経緯と真意を明かした。
――引退を決意した経緯は
棚橋 社長就任のタイミング(昨年12月)ですね。コロナ禍で下がったビジネスをもう一回、俺の力で…と思ってたんですけど、それは時代時代に担う選手がいて。まだできることはきっとあるんだろうけど、俺じゃねえなって思ったので。そういう選手たちが戦える環境をつくることにやりがいを見いだしたというか。
――社長就任の時点で現役はあと2年と決めていたのか
棚橋 そうですね。僕は社長として成長してほしいと(周囲に)思われてるんですよ。2年あったら日本全国回れるかなと。今年はもう10か月たちますけど、勝手に「ありがとう」と思いながら(各会場で)試合をしてました。
――現役に未練は
棚橋 ないです…ウソです、あります。ありますけど、自分が持てる以上の力をファンのみなさんに引き出してもらったので。(自分のレスラー人生が)100点か100点じゃないかと言えば、120点なんですよ。
――社長として新日本を発展させる最良の道を選んだと
棚橋 これ以上のタイミングないじゃんって。やろうと思ったらずっとやっていたいですよ、本音はね。でも僕は、期待には期待以上に応えたいので、レスラーとしても社長としても。今の状況だったら社長に100%注げないって、この10か月で分かりましたね。今まで学んできたことプラス、さらにしっかり成長して新日本プロレスをバックアップしていきます。
――すでにSNSなどで引退ロードでの対戦を希望しているレスラーもいる。自身の希望は
棚橋 そうですね…名乗り出てる選手、一回棚橋に触っておきたいという選手は全員やりましょう。
――IWGP世界ヘビー級王座(現王者はザック・セイバーJr.)や、G1クライマックスといった最前線との距離感は
棚橋 いやいや、僕は衰えながら辞めていくのではなくて。(もともとは)IWGPに届かないと思ったら辞めるのが理想だったので。だから理想としては引退試合はIWGP世界ヘビー級選手権がいいなって。挑戦して、勝ったら(現役)延長ですよ、引退撤回。負けたらそのまま引退。そうしたら自分、納得いくもん。もうかなわないと思ったから辞めれるじゃん。
――かつてのライバルである中邑真輔はWWE、オカダ・カズチカはAEWと米マットで活躍。引退前にもう一回戦いたい気持ちは
棚橋 僕としてはどんどん若い選手と試合しておきたいかなと思いますけど、ファンが望むのであれば。あるかもしれないし、ないかもしれないし、分からないな。個人的にはどこかでやれたらいいなと思ってます。まずはあと残り1年2か月、全力で戦いますので、応援よろしくお願いします。