西武は15日から秋季練習をカーミニークフィールドでスタートさせた。西口文也監督(52)の新体制が、この日から本格始動。練習の冒頭、飯田光男球団本部長は集まった選手たちを前に「今年は歴史的な弱さに終わった。底の底まで落ちたんだけど、これから上に上がるしかない」などとゲキを飛ばした。
今季の最終成績49勝91敗3分け(勝率3割5分)は西武史上ワーストだ。この責任を取って松井前監督、渡辺GM兼監督代行のレジェンド2人が退団し、球団は「外部の血」「新しい考え」「厳しさ」をキーワードに組閣へ着手。西口内閣には発表済みの鳥越裕介ヘッドコーチ(53)に加え、仁志敏久野手総合コーチ(53)や大引啓次内野守備走塁コーチ(40)ら個性的な〝外部の血〟が流入することになる。
西口監督は野手陣の底上げについて「野手は数字に表れている通り、打てなかった。そこにどうアプローチしていくか」とし、30日からの南郷秋季キャンプを見据えた。
しかし、冷静に鑑みれば歴史的な弱さを招いた根本的な原因は、現場に満足な戦力を供給できなかったフロントの補強ミスにある。過去2年で森、山川という主軸をFA移籍で失い、一定の成績を残したマキノンとの再契約を見送り、カバーする補強ができなかった。
招聘役の渡辺GM兼監督代行とともに球団を去った松井前監督にしても、2年前の就任会見で当時のフロントから「(前任の)辻監督のもとヘッドコーチとしてチームの課題を的確に把握しており、目指す『常勝』と『育成』において監督として最もふさわしい人材」(奥村球団社長)と三顧の礼で迎えられていたはず。今回の人事に関しても結果に対して世論をうかがいながら「場当たり的に対処しているのでは」という疑念は拭えない。
飯田本部長は「これから上に上がるだけ」と楽観的な見通しを語っている。だが、今オフの戦力補強の全容が見えない現段階では、さらに底を掘る可能性も否定できない。
戦うのはあくまでも選手であり、新コーチをそろえただけで来季の勝利は保証されないだろう。