15日に公示となった衆院選(27日投開票)で、元東京都知事で日本維新の会の参院議員の猪瀬直樹氏(77)が同党の候補者たちの応援弁士として精力的に活動した。
東京メトロ千代田線町屋駅で行われた東京29区の海老沢由紀氏の第一声に駆け付け、有権者と握手をしたり、チラシを配るなどした。
マイクを握った猪瀬氏は、友人関係であるという石破茂首相をやり玉に挙げた。「石破さんはいい事言うんだけど、いつも話してて序論しかない。『こうあるべき』『こうしなければいけない』とか、そういうことしか言わなくて。本論がない。だから実践的に何をするのかというのが全然ない」と容赦なかった。
続けて「日本維新の会はしがらみがない。ここで(自民党が石破首相に)表紙を変えたからといって、よくなるわけでない。今、本当に必要なのは、しがらみのない政治なんです」と訴えた。
海老沢氏にエールを送った猪瀬氏は休む間もなく新宿に移動し、東京1区の音喜多駿氏の応援演説で再び熱弁を振るった。
演説の中で猪瀬氏は「もし自公過半数割れとなれば、我々の主張が通るんです。過半数割れになれば、我々が条件をつけることができるんです」とも口にした。
まさにこの言葉が、今回の衆院選で野党共闘が進んでいない理由だろう。永田町関係者は「自公で過半数が割れた場合、維新とか国民民主は『自公は連立の話を持ってくるだろうな』と思っている。それに備えて一つでも議席を増やしたいから、共闘できない」と指摘した。
各党の思惑が交錯している。