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Mー1王者・令和ロマンを輩出!唯一無二のお笑い目指して議論飛び交う慶大の〝お笑い道場〟

東スポWEB 2024年10月20日 10時10分

一風変わった活動や、ユニークな分野で活躍する大学サークル・部活を取材する「直撃! ユニークサークル」。今回は「M―1グランプリ2023」で優勝したお笑いコンビ「令和ロマン」を輩出したことでも知られる、慶応大のお笑いサークル「慶應義塾公認学生団体 お笑い道場O―keis」を取材。大学生という限られた時間の中で、お笑いに妥協しない学生たちの姿を垣間見ることができた。

「O―keis」は2006年に立ち上げられた大学お笑いサークルだ。新入生の20期生も入部し、20周年も間近となったこちらの団体では、昨年のM―1王者「令和ロマンのほか、「真空ジェシカ」の川北茂澄、「ストレッチーズ」(高木貫太/福島敏貴)、「ひつじねいり」の細田祥平等、数々のお笑い芸人を輩出してきた。現在はサークルのライングループに約260人が在籍。その内60、70人程が積極的に活動しているという。

入部理由も、単にお笑いが好きというものから、絶対に学生お笑いの舞台に出たいというものまで多種多様だ。入部後は演者と裏方を支えるスタッフに7:3の比率で分かれるというが、活動中に裏方から演者へシフトしていく部員もいると代表の藤原友香さんは語る。

世間では間違いなく〝おしゃれな大学〟と認識される慶応大で、青春をお笑いに捧げることを選ぶ学生は、少し変わった存在のようだ。「テニスサークルや音楽サークルもある中で、お笑いという選択肢は慶応では普通じゃなくて。クラスの友達には言ってない人もいると思うし、学祭の舞台に出て、初めて周りが知るということもあるでしょうね。全体的に『ザ・慶応生』みたいな人は少ないです」(藤原さん)

主な活動は週1の「ネタ見せ」と、さまざまな団体が開催するライブへの出演となっている。今回取材したネタ見せでは数十人の部員が集まり、主に下級生が漫才やピンネタを披露した。出番が終わった部員に対し、上級生たちからは厳しい意見が集まることも。その場で受けた大量のアドバイスを、素早く手元のスマホに入力していく光景は、いかにも「令和の部活」といった印象だ。

そんな学生たちにとっての大目標は、夏に行われるお笑いグランプリ「大学芸会」、そして春に行われる団体戦「NOROSHI」。ほかにも年3回の学園祭、早稲田大・明治大のお笑いサークルとの合同開催対戦ライブ「WAKEME」等、実力をつけるに伴って活躍の場は増えていく。「M―1」のようなプロアマを問わない賞レースに参加する部員も少なくないが、優先順位としては「(大学)芸会」や「NOROSHI」が上というから驚きだ。「出演者も観客もほぼ全員学生なので、本当に純粋な大学お笑いというか、一番認められている感覚があって。大会の直前は結構ピリピリしています」

4年間で〝やりきる〟学生も多いという風潮は、イメージとしては高校野球に近いだろうか。有名OBを輩出する「O―keis」でも、将来的にお笑い芸人になる学生や、お笑いの現場に近い各種メディアに就職するという学生は決して多くはない。藤原さんも「大学で結果が出た人はプロになりやすいですが、結果が出たから皆プロになるということではないです」と念を押す。

とはいえお笑いの道を選んだOBに対する憧れは大きい。「令和ロマン」の優勝については「しっかりと大学お笑いをやってきた先輩の優勝はうれしかったですし、『うわー!!』ってなった後に、『いやー…』みたいな(笑い)。さすがにすごすぎるなって思いました」と率直な心境を明かした。

ちなみに「O―keis」では、学内最大の学園祭「三田祭」での舞台が終わった後の打ち上げを、あらゆるお店や施設、小旅行を挟みながら20次会まで続ける〝究極〟という慣習が存在。こちらは現役時代の「令和ロマン」髙比良くるまが提唱し、現在まで残っているのだという。今なお影響を残す〝M―1王者〟に憧れて入部する学生も、今年は多かったというが…。「似たようなことをしてもものまねになってしまうので。かなり意識したネタをしていたら、そこは先輩が『好きなだけじゃない?』と厳しく言うかもしれないですね」と藤原さんは説明。「ストイックという言葉では安直かもしれませんが、『本当に面白いことをやろう』という意識はあります」とサークルとしてのポリシーを強調した。

今後も「一番面白く楽しいサークル」を目指すという藤原さん。最後にサークルから新たな「M―1」王者が生まれる日は来るかと聞くと、「いつかは出ると思いますし、令和ロマンさんの連覇もありうると思います」と頼もしい言葉をもらうことができた。〝笑い〟に若く貴重な時代を注ぎ込む慶応大生たちは、今日も大舞台に向けて独創性あふれるネタを磨いている。

【慶應義塾公認学生団体お笑い道場O―keis】2006年に創設された、慶応大唯一のお笑いサークル。大学お笑いの各種大会でも結果を残しているほか、「M―1グランプリ2023」王者、「令和ロマン」を輩出したことでも知られている。

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