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〝韓国の猛虎〟大木金太郎 ブッチャーと大乱闘!頭突き世界一決定戦

東スポWEB 2024年10月20日 10時10分

【昭和~平成スター列伝】何度でも言う。頭突き一本で生き抜いた男は美しい。前回は“韓国の猛虎”大木金太郎と“黒い魔神”ボボ・ブラジルの“頭突き世界一決定戦”(1972年12月)について触れたが、大木はその後、正式に「頭突き世界一決定戦」と銘打たれた一戦で“呪術師”アブドーラ・ザ・ブッチャーと壮絶戦を展開している。

舞台は75年12月11日、日本武道館「力道山十三回忌追善試合」。全日本、国際、旧日プロの選手が参加した。大木は同年10月30日、蔵前国技館でジャイアント馬場との日本人対決を実現させたが、この際にブッチャーが大木を襲い、遺恨が勃発。大舞台のセミで「頭突き世界一決定戦」が実現した。大木は「力道山先生の追善大会で負けるわけにはいかない」と鼻息も荒く出陣した。

ところが前日のオープン選手権岐阜大会でブッチャーと両者リングアウトに終わり左肩を脱臼して、この日の大会を欠場したハーリー・レイスが試合前にリング上でおわびをしているところを、ブッチャーが襲撃するという何だかよく分からない大荒れのスタートとなった。本紙は壮絶戦の詳細を報じている。

「ブッチャーがレイスを襲うと大木が助けに入る。やっとゴングだ。大木は頭突きで攻めた。1ダースの頭突きが飛ぶ。大木もブッチャーも額が切れた。大木の石頭が飛ぶ。横から正面からジャンプしながら後頭部から、あらゆる角度から頭突きが乱打され、ブッチャーは後退一方。タフだ。倒れない。悲鳴を上げながら一本角のついたシューズでトゥーキック。戦いは場外となり机、鉄柱、イスへの激突、観客席のど真ん中でいつ果てるか分からない殴り合いだ。ゴングが乱打され、両者リングアウト(5分45秒)。それでも2人は血しぶきを上げ乱闘だ。こともあろうに百田義浩リングアナが巻き込まれ、ブッチャーに額を割られる。荒れに荒れるブッチャー。力道山の追善試合はブッチャーがその長男を傷つけるというハプニングで、観客の憎悪をかった」(抜粋)

大混乱の中「頭突き世界一」は決まらなかったが、大木が押していたのは明白だった。この後、大木は全日本を主戦場としてブッチャーと抗争を展開した。

ところで、不参加だった新日本は蔵前国技館で猪木対ビル・ロビンソンの初対決を挙行。1対1の時間切れ引き分けに終わるも、歴史に残る名勝負となった。いわゆる興行戦争だったが両大会ともに超満員の大成功に終わった。

一方、ブッチャーはその後も長く現役を続けて2019年2月19日、両国国技館の「ジャイアント馬場没20年追善興行」で引退セレモニーを行った。この時はオープニングで猪木も登場した。ブッチャーはここ数年、深刻な病気で体調を崩し入院生活を送っている。83歳という高齢だが一日も早い回復を望みたい。 (敬称略)

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