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自民党本部や首相官邸への〝ナゾ襲撃〟で衆院選さらに混沌 演説会場付近は警備強化

東スポWEB 2024年10月21日 5時5分

負の連鎖が止まらない。衆院選(27日投開票)のラストサンデーとなった20日、全国で選挙戦が繰り広げられた中、警護対象者が含まれる演説会場は厳重な警備態勢がさらに一段上がる事態となった。前日に〝ガスマスク男〟による自民党本部や首相官邸への襲撃事件が起きたからだ。不可解な犯行で選挙戦は混沌としてきた。

臼田敦伸容疑者(49)は、19日午前5時43分ごろに自民党本部前にワンボックスカーで乗りつけ、火炎瓶のようなものを5本投げ入れた。さらに高圧洗浄機のような装置で、警備していた警察官に液体を噴射。その後、約600メートル離れた首相官邸前に移動し、入り口に突っ込むも防護柵に阻まれ、その後に発煙筒のようなものを投げたが、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。車内からは約20個のポリタンクや液体入り瓶が見つかり、ガソリンが検出された。自分の身を守るためか、ガスマスクや防護服を着用していた。

公安部によると、同容疑者は黙秘しているという。Xには「暴力を望んではいないが、誰しもが立候補でき誰しもが投票権を持たない限り、暴力的になるのは必然である」との文言を13年前から繰り返し、投稿していた。埼玉・川口市出身で2009年の衆院選で供託金制度の廃止を掲げて立候補を試みようとした。11年の福島原発事故以降は反原発活動に傾倒し、自公政権に怒りをおぼえていたという。

衆院選最中に起きたテロともいえる犯行に永田町に衝撃が走った。2年前の参院選最中に安倍晋三元首相が銃撃されて死亡、昨年の衆院補選では岸田文雄首相(当時)の演説会に爆発物が投げ込まれ、あわやの事態を招いた。警察当局は警護対象者の街頭演説会では厳戒な警備態勢を敷いている。演説会場では警備犬による爆発物の探索、演説者と一定の距離を置いた聴衆エリアを設置、入場には金属探知機による身体検査や荷物検査を行うなどしていたが、政治の中枢である首相官邸と自民党本部が襲われる事態を許してしまった。

一方で、臼田容疑者が党本部や首相官邸を早朝に襲った理由は判然としない。安倍元首相や岸田氏を襲った男ら同様にローン・オフェンダー(単独の攻撃者)とみられるが、背後関係は不明。公安部はなにかしらの陽動作戦で組織的な犯行の可能性も視野に入れて、捜査している。

自民党関係者は「犯行時に石破首相は首相官邸ではなく議員宿舎にいて無事でしたが、本当に犯人が石破首相や党幹部に危害を与えようとするならば、24時間警備している永田町ではなく、事前に応援日程も発表されている街頭演説や移動時を狙うところ。計画的な犯行の割には何をしたかったのかがよく分からない」と首をかしげる。

自民党の森山裕幹事長は「言論が暴力によって封殺されることはあってはならず、民主主義の根幹たる選挙が行われている最中であり、今回の行為には強い憤りを覚える。自由民主党は暴力には屈しないという断固たる決意の下、各地の事情も踏まえ、選挙活動を予定通り進める」との談話を発表し、予定通りに石破首相を含め、党幹部や閣僚は応援入りした。

警察当局は警備態勢のさらなる引き上げを命じた。20日、自民党候補を応援するために岸田氏が東京・武蔵小山に登場した時には100人近い制服の警察官、同数の私服警察官が警備に当たった。演説会場付近では大きな荷物を持った人に職務質問、荷物検査が行われ、ロータリーには一般車両が立ち入りできない措置が取られた。

不穏な動きを見せた男性には10人以上の警察官が追跡するなど、あまりの物々しさに「聴いている人より警察の人の方が多いよね。怖くて、近寄れない」と足を遠ざける人も。衆院選は折り返したばかりで、模倣犯が出現しないことを祈るばかりだ。

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