【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。映画「釣りバカ日誌」シリーズなどで活躍した俳優の西田敏行さんが17日にお亡くなりになりました。訃報の9日前の8日、映画のイベントに出席されていたこともあり、突然の悲しい知らせには本当に驚きました。西田さんのご冥福をお祈りします。
時代を作った名俳優も必ずその人生に別れを告げる時が訪れます。では、映画の世界は日々衰退していくのかといえば、もちろんそんなことはありません。映画界の未来を担う若き俳優たちが日々生まれています。今回は、そんな新たな名俳優の誕生を予感させる映画「BISHU~世界でいちばん優しい服~」を紹介します。
11日に公開された同作は、毛織物の一大産地として注目を集める尾州地域(愛知県尾張西部から岐阜県西濃エリア)が舞台。尾州ウールの織物工場を営む家族の物語です。
今作の特筆すべき点が何といっても主人公の神谷史織を演じた服部樹咲さん(18)の演技力です。もう、純粋なお芝居のうまさがとんでもない。史織は発達障害を持つ女の子。映画の冒頭のシーンで史織が起床してアイマスクを取った瞬間に、なぜかもう「ああこの子は発達障害を抱えているんだな」と感じ取れるんですよ。説明を入れなくても、役者のしぐさで役柄が伝わってきました。彼女は近いうちに朝ドラヒロインを担当する! そう確信しましたね。
また、物語の後半、彼女の発達障害をめぐって家族に大きな問題が発生するんですが、そんな山場にそれまでの彼女の演技がもう布石のように効いてくるんですね。クライマックスは映画史に残る名シーンが生まれたと言っても過言ではないのかなと思いました。
家族ドラマである本作ですが、ご当地ムービー、そしてお仕事紹介ムービーとしての側面もあります。尾州地域の美しい山や川が本当に良い画を作り出しているんですね。また、毛織物という産業への説明も非常に丁寧です。映画から地域を、そして産業を盛り上げたいという制作チームの強い思いを感じました。
西田さんという1人の偉大な俳優が旅立たれたことは映画界にとって大変悲しいことです。しかし、西田さんの背中を見て、追いかけて、また新たな名俳優が生まれてくることでしょう。今作で輝きを放った服部さんの今後に要注目です。役者の演技の底力を感じることのできる一作だと思います。ぜひご覧ください。