自民党の石破茂首相は22日までに、衆院選(27日投開票)候補者の陣営に対して「緊急通達」とのタイトルで文書を配布している。
石破総裁の名前が入った「檄(げき)文」は、21日付で各選挙区の候補者陣営に配られていた。
「選挙は、いま重大な局面を迎えている」と始まり「後半戦に至るも全国各地において激戦が続いているが、この衆院選は、あらためて言うまでもなく『政権選択』選挙である。引き続き『自民党と公明党による政権を継続して、経済成長をはかり国民の暮らしを向上させる』のか、それとも『具体的な政権構想のない無責任な野党の政権を選んで、経済と国民生活を混乱に陥らせる』のか、極めて重大な岐路に立っている。わが党の底力を発揮するのは、今この時である」と呼びかけている。
最後に石破首相は「全党一丸となって国民のために決戦に勝利しよう。この後半戦、私も死にもの狂いで全国を駆け回る。各位におかれても必ず勝利を掴み取るため全力を尽くしご奮闘いただくようお願いしたい」と決意を述べ締めている。
自民党は今度の衆院選で〝政治とカネ〟の問題をめぐる裏金議員たちが立候補し、選挙戦で苦戦中だ。
「各陣営は選挙戦の終盤に、時の総理総裁から通達される恒例文書として受け止める。だが、今回は勝手が違う。マスコミ各社の情勢調査で、わが党は単独過半数(233議席)すら難しいデータも出ている。石破首相が目標に掲げた公明党との過半数も微妙だ。後半戦の重点選挙区は30以上を超え、日本維新が強い大阪は全選挙区になっている状態だ」と同党関係者は現状を明かした。
首都圏から立候補した候補者の応援に入った同党参院議員は「選挙スタッフは情勢調査が入るたび『厳しい…』と落胆の声を出します。踏ん張って、終盤で盛り返したいのだが…有権者は『自民党』と書かれた候補者のタスキを見ただけで遠回りして離れていく。選挙中なのに党幹部が、政治とカネで離党した議員を復党させたりするのは逆効果だろう」と不満を口にした。