右腕の胸に火の玉が宿った。阪神・村上頌樹投手(26)が23日の甲子園全体練習に参加。ランメニューを中心に汗を流し「藤川監督が『この秋、冬追い込んで』と言っていたので。しっかり練習できたと思います」と充実感をにじませた。
この日、藤川球児新監督(44)は、ドラフト前日会議のため不在。前日22日も直接会話はなかったものの、ミーティングでの訓示が胸に響いたという。新指揮官がナインに伝えたのは、21日のCSファイナルステージ第6戦・巨人―DeNA戦(東京ドーム)での一幕だ。DeNAが1点リードで迎えた9回からマウンドに立ったハマの守護神・森原は、マウンド上で一貫して笑顔。巨人・門脇、丸、岡本と強打者相手にも勝負を楽しむような姿に感銘を受けたという藤川新監督は「あれを見てすごく興奮しました。そういうチームがいいです。僕自身としては最後にああいう表情で、一瞬のゲームを勝とうが負けようが迎えたいというのはありますね。(訓示で)それを伝えました」と明かしていた。
緊迫した場面でも威風堂々と、そして何よりも笑顔が大切――。新監督から熱い言葉を向けられた村上は「あの場面で笑って投げられるのは、本当にすごいなと。自分だったら笑顔というよりかは、緊張が強いので」と率直な思いを口にする。
一方で昨季は10勝6敗防御率1・75で、MVPと新人王を受賞。しかしながら今季は7勝11敗、防御率2・58と思うような活躍はできず。今季最終戦となったCSファーストステージ第2戦(13日、甲子園)では6回から登板するも3点ビハインドの7回に代打・フォードに痛恨の一発を浴びると思わず天を仰いだ。「去年は(笑顔も)多かったかなと思うんですけど、今年はやっぱり苦しくて…。そこまでの余裕はなかったなと」と悔しさをにじませながらも「藤川監督は(DeNA・森原は)『笑顔でやれていた』と言っていたので。自分も、また一から楽しんで野球をして試合に貢献できるようにしたいです」と言葉に力を込めた。火の玉監督の教えを胸に来季は白い歯をのぞかせることを心がけ、完全復活を目指す。