“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は高校3年生にして、今年の女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」の準決勝に勝ち進んでいる、アマチュアのピン芸人を取り上げる。
「THE W」の2回戦、私は今年もすべて見に行ってきました。いろんな芸人が出てくる中、飛び抜けてウケていたのが彼女です。ピンなのにボケの手数が多く、マイペースに無理なくボケ続けるスタイルは勇ましく、頼もしくもありました。
【プロフィル】
芸名‥榎崎ゑゆ子
所属‥アマチュア
生年月日‥2007年1月26日
出身‥東京
最初はコンビで始めたそうで、初舞台は昨年3月5日。ピン芸人としての初舞台は昨年10月14日だそうです。今のところデータはこれだけなので、直接話を聞いてみました。
――お笑いを始めたきっかけは
「もともとお笑い番組が好きで、ライブに通うようになって『演者やってみたい!』という気持ちはあったんですが、1人で出る勇気がなく…。スタッフとしてライブに関わっているうちにその欲が再熱し、誘ってもらえたので(初舞台はコンビでした)お笑いを始められました。今は舞台に立つのがシンプルに楽しいので続けてます!」
――今年は「THE W」で準決勝進出
「動画審査(1回戦)は、新道さんのライブで撮ってもらったのを出しました。規定時間を超えてたので、めっちゃかんだところを編集して不自然なまま出しちゃったんですが、なんとか通った。2回戦は、私の前のあしたよろしくさんがめちゃくちゃウケて、道具を片付けるために急に中MCが入ったのでドキドキでした。2回くらい大きめのウケがあったのと、人とかぶりにくいタイプのネタだという自負はあったので、『もしかしたら!』という感じでした。でもかんだ箇所もあったので正直自信はあまりなかった。通過したと聞いた時、本当に驚きました」
――賞レースに対する思いは
「今まで挑戦したM―1やR―1で1回戦を突破した経験がなく、お客さんが多くて楽しいけどプロになるわけでもないしそんなに積極的に出なくてもいいかなあ…と思っていた。『THE W』も軽い気持ちで出たら、まさかの準決勝。進めると思ってなくて、今はすごいって言われたいから頑張っちゃおうかなと思っています。やっぱり面白いと思ってもらって、ライブにたくさん呼ばれたいので!」
――将来の目標は
「私は社会人や大学生の方が趣味でやっているアマチュアお笑いに関わっていて大好きなので、そこで結果を残してたくさんライブに呼ばれたい。自分の活動を通してアマチュアお笑い界がより良くなるよう貢献できたらいいなと。普通にお笑いオタクでもあるので、テレビで見てるような方々と共演したいという気持ちもあります!」
――今後のお笑いに対する活動への考え
「高校を卒業したら大学のお笑いサークルに入ろうと思ってます。大学お笑いはよく見に行っていて憧れの世界なので、自分がどれだけ通用するのか、怖くもあり楽しみでもあります。大学卒業後は就職してこれまたLOVEな社会人お笑いを始める予定です。自分に責任を持つのが怖いのでプロになる予定はないですが、やめる予定もないので、これからも自分のペースでやっていけたら」
――私、新道竜巳のライブだけに出ていましたが、その理由は?
「単純に新道さんしかライブに誘ってくれないからです(涙)。新道さんの『女芸人フェス』はエントリーフィーもかからないし時間も調整していただけるので学生に優しい。いつもありがとうございます。あと『みんなのペチカ』という、私がスタッフもしているアマチュア限定のライブにはたまに出ています」
自分が高校生の時と比べると、全くレベルが違う。しっかりしていて自分の考えをちゃんと言語化できる。これから無限の可能性があると思います。今年の「THE W」準決勝は11月14、15日の2日間、ルミネtheよしもとで行われます。ひょっとしたら彼女の姿が決勝で見られるかもしれません。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。