プロ野球ドラフト会議が24日に東京都内のホテルで行われ、NPB歴代5位の通算525本塁打を記録した清原和博氏(57)の長男・清原正吾内野手(22=慶大)は支配下、育成ともに指名漏れ。先月12日にプロ志望届を提出し大きな話題を呼んだものの、親子鷹誕生の夢は消え去った。それでも本紙評論家・得津高宏氏は社会人野球入りと2年後のドラフト再挑戦を強く進言した。
【得津高宏・快打一閃】個人的には「清原正吾」の名前がドラフト会場に響き渡るシーンを見たかった。だが、やはり現実は甘くなかったということだろう。
ドラフトが始まる前、実父・和博氏が在籍していた古巣・西武や日本ハムあたりが清原を上位指名するのではないかと真偽不明の情報が錯綜していた。実際のところ、その真相は分からない。さすがに上位指名は難しいにせよ「育成ならば…」と直前まで思い悩んでいた球団があったとしても、不思議はないように思う。
清原は名門・慶大で4番を任され、大学ベストナインにも選出された経歴の持ち主。ただし、そこまで抜きんでた数字を残せていないのが現状だ。一方、リトルリーグまで続けていた野球から一度離れ、中・高時代はバレーボール、アメフトに専念。大学で7年ぶりに野球を再開し、名門大学でレギュラーを張れるほどの潜在能力をいかんなく発揮してきた。間違いなくポテンシャルは抜群で、私はまだまだ彼が成長するとみている。それは元プロスカウトの目から見て「間違いない」と断言していい。
だが、いざふたを開けてみると実際に清原を指名する球団は育成すら1つもなかった。球界のレジェンドである父親の存在を考えれば気遣うあまり、なかなか下位や育成での指名には踏み切れずちゅうちょしてしまうところもあったのではないか。
プロ志望届を出し、大学で会見の準備を整えてスタンバイしていた清原にとってはさぞかしショックだったことだろう。しかしながら冷静に考えてみて彼が〝スルー〟され、私は逆に良かったと考えている。どこかのNPB球団に育成指名で滑り込み、入団できたとしても「縁故」や「親の七光」などといった陰口が最初からつきまとうことになる。それは清原にとって、とてつもないマイナスだ。
だったらドラフトにかからなかった屈辱をバネにし、再びはい上がってくればいい。思い起こせば現役時代の和博氏も負けん気を心の糧にしながらエネルギーに変え、グラウンドで日々躍動していた。その遺伝子と血を引き継ぐ清原ジュニアなら、それを踏襲しているはずだ。
だからこそ慶大卒業後は社会人チームに入り、技術とスキルをさらに磨きつつ超一流選手に成り上がって2年後のドラフトを再び目指す。これが今後の清原にとってはベストの選択といえる。
抜群のポテンシャルのみならず、ルックスもいい。さまざまなスター性を兼ね備える清原に対しては、テレビ業界が早々と卒業後にアナウンサー、もしくはキャスターとしてオファーをかけようと水面下で動いているとの話も聞く。しかし、そんな予想通りのストーリーラインではドラマがあっさりと終わってしまう。主人公・清原正吾が社会人野球でスーパースターとなり、2026年秋のドラフトでNPB球団から1位指名され〝2年分の笑み〟を浮かべ、リベンジを果たす日をきっと多くの人が今から待ちわびている。
(本紙評論家)