アイドルグループ「SKE48」が10月5日で16周年を迎えた。名古屋最大のアイドルグループが17年目に目指していくものは何なのか。SKE48の運営会社である株式会社ゼストの高田裕充社長(50)を直撃。第1回では、グループ最大の懸案事項である歌番組出演を実現させるための戦略と、決意を語った。
【高田裕充社長インタビュー(1)】
――SKE48は10月5日で16周年を迎えて17年目に突入した
高田社長(以下、高田) SKE48は箱推しのファンに支えられているという伝統、歴史を持っています。30、31枚目シングルのセールスも堅調に推移してきて、前作の32枚目シングル「愛のホログラム」(2月発売)は累計出荷枚数が70万枚を記録しました。本当にファンの皆さんのおかげで達成できたものです。この場をお借りして御礼申し上げます。
――CDセールスで70万枚は、今年の48グループのシングルの中で最大の売り上げとなる
高田 70万枚という数字は2013年1月30日発売の「チョコの奴隷」、15年3月31日発売の「コケティッシュ渋滞中」に迫る数字となっています。パッケージの数字としては、過去の勢いを取り戻してきている。以前のSKE48の活力がファンの皆さんのおかげで、復活しているというところです。
――「愛のホログラム」はSKE48史上ベスト3に入る売り上げとなる
高田 そうですね。ただ今後、いかにして新世代のメンバーをフックアップして新しい側面を見せることができるか。独自性や個性的なコンセプトを打ち出しているアイドルグループが今、群雄割拠している状況です。特に「=LOVE」さん、「超ときめき♡宣伝部」さん、「FRUITS ZIPPER」さんなどのグループは「Kawaii文化」を体現している。そういうシーンにおいて新生SKE48の個性、コンセプトを打ち出すことが課題で、今、そこをもう一度作り直そうという話をスタッフとしていますし、メンバーともその話を今後、年内にしていこうと考えています。
――高田社長から見たSKE48の良さ、ストロングポイントとは
高田 〝がむしゃらに頑張るところ〟ですね。普段のレッスン場で、とにかくひたむきに頑張っている姿を見ています。SKE48全体のことを考えているメンバーも多いですし、自分のことよりSKE48をどう上げていくかを考えている子ばかりです。そういう子たちを大切にして、このグループをどう盛り上げていくかというのは、運営の力量にかかっていると思います。「若い子がこれだけ頑張ってるから、運営は手を抜けないな」とメンバーは感じさせてくれるんです。
――高田社長はエイベックス出身で、いろいろなタレントを見ている。その中でも…
高田 僕はK-POPのはしりの頃にBoAというアーティストを見ていたんですが、彼女も本当にがむしゃらに頑張っていました。才能があって振り入れやダンスを覚えるのも早かったんですけど、夜遅くまでレッスンして、一生懸命努力する。ただ、SKE48の場合は1人だけ頑張ればいいというわけじゃない。チームとして見せていくところがあるので、1人だけダンススキルが上がってもダメなんです。いかに後輩を教えていくか、みんなのモチベーションを上げるかという部分を、各メンバーがすごく意識しながらやっています。個別最適ではなくて、グループとしての全体感、全体最適。自分さえ良ければいいではなく、SKE48をどうしていくかっていうのを考えているメンバーが多いですね。最新シングル「告白心拍数」でセンターを務めている熊崎晴香は、そういうところがすごく強い子だったりします。1番忙しいはずなのに、率先してグループのために動き、声を出してやっています。
――グループとしてもっと強くしたい部分は
高田 ファンの皆さんからずっとご指摘を受けているところですが、音楽番組への出演というところが最重要課題かなと思っています。いろいろな方と話をしていますが、テレビ局は今、SNSでどう話題になっているかをすごく見ています。いかにSNSでバズを作れるか。そういうところからヒット曲を作るのが歌番組出演のための解決策ではないかと考えて、SNSに対してもっとスタッフ陣を強化してやっていこうと、話し合っているところです。
――ファンの間ではテレビ局へのプロモーションを行う所属レコード会社「エイベックス」に対して「テレビに出なくてもCDが売れるので、何もしなくていいと思っているのではないか」という不満がかなり溜まっている(※前々作「好きになっちゃった」、前作「愛のホログラム」では全国ネットの歌番組出演ゼロ。最新曲「告白心拍数」でも現時点でゴールデンタイムの歌番組出演は決まっていない)
高田 もっと働きかけていくつもりです。次回、34枚目シングルはどういうアタックしていくのか、そのためにスケジュールをどれだけ空けておけばいいのかなどを(エイベックス側と)お話しできたらと思っています。「告白心拍数」の発売時期(10月2日)と周年コンサート(10月12~14日)のリハーサルが重なってしまって、パワーだけじゃなく、スケジュールの制約もありました。そのあたりも全部整理をして、エイベックスのスタッフと膝をつき合わせて話していきたいなと思っています。歌番組への出演は彼女たちのモチベーションにもつながりますし、ファンの方にも喜んでいただける。ファンの方に応援して良かったと思ってもらえるような見せ方にはこだわっていきたいですし、エイベックスさんとしっかり話していきたいと思います。