日本シリーズではベイスターズの〝一丸野球〟が、CSよりも一段階上にレベルアップしそうだ。三浦大輔監督(50)は開幕前日の25日、こう強調した。
「日本シリーズがいつもと違うのは当然のこと。(選手に)いつも通りにやられたら困りますし、マスコミの方々もいつも通りでは困ります。盛り上がり方も、また違う盛り上がり方になると思う。全員が力を合わせて力を出し切って、束になってかかっていかないと」
主将・牧は初めての日本シリーズを前に「本当に未知数で、雰囲気も何もかも、本当にまったくわかんない」と素直な気持ちを吐露。そこで「2017年にシリーズを体験した先輩の方々にも、いろんなことを聞いてやっていく」という。
17年は今年と同じくリーグ3位からの下克上で、日本シリーズへ進出。やはり同じ相手のソフトバンクに辛酸をなめたものの、2勝4敗と善戦した。当時の激闘を経験した先輩チームメートには筒香、桑原、戸柱らが名を連ねている。牧が聞きたいのは、三浦監督も強調した「雰囲気の違い」だ。「ハマスタでの最初の2試合、特に明日の初戦はすごい大事になるので、どんな雰囲気になるか、自分も初めて味わいますから」と口元を引き締めた。
そうした中、三浦監督もCSを通して、選手の成長を感じ取っている。
「ああいう接戦の緊張感がある中で、ミスもいっぱいありましたが、それ以上にいいプレーもいっぱいあって勝ち切った。チームにとって、非常に大きなCSでしたね」
選手の成長を促し続けている指揮官のキーワードが「ミスしたら忘れろ」。特に巨人とのCSファイナルステージ第6戦(21日・東京ドーム)で初回に適時失策しながら、5回に適時三塁打を放って逆転に結びつけた森敬は、成長株の最たる例と言っていいだろう。
森敬が「結構ミスを引きずることもある」と打ち明けていることと照らし合わせれば、三浦監督の箴言(しんげん)が〝洗脳効果〟となってプラスに働いたことは間違いない。
それでも指揮官は「それは周りの声がけのおかげでもある」と強調する。「ベンチで森が暗くならないように、周りが『次だ、次、次!』と声がけして、そういう(前向きになる)空気にしてくれてるんですよ。森本人がやってしまったと思うのは仕方がない。それでもね、ミスの後で下向いてプレーしてなかったですからね。そういう姿勢になることが大事です」。
振り返れば三浦監督もまた厳しい短期決戦を通じ、指揮官として大きく成長した。自身のレベルアップ、そして徹底しながら積み重ねた選手教育でパ王者のソフトバンクを倒せるか。最大の勝負が始まる。