裏金問題で自民党から衆院選(27日投開票)で非公認となった候補者の政党支部に党本部から2000万円が振り込まれていたことで、野党側は「事実上の公認だ」「全く反省していない」と猛追及。非公認で戦っている萩生田光一元経産相は「ありがた迷惑」と党執行部を公然と批判し、投開票日を前にして党内政局の号砲が鳴った。
非公認となった8人の候補の政党支部に公示後に「党勢拡大のための活動費」の名目で、2000万円が一律振り込まれていたことが23日に分かり、選挙戦終盤で劣勢に立たされている自民党候補の陣営は大弱りだ。
関係者は「石破茂首相が就任してから公認をめぐる問題でグダグダの対応続きで、支持率もジリジリと下げている。選挙では逆風が吹き荒れています。そこに非公認候補に活動費を支給していたなんて、どういうことですか」と悲鳴を上げた。
萩生田氏は動画で「なぜ選挙期間中に支給を決定したのか。事前に連絡もなかったのか。執行部の判断に対して大変疑問を抱いている。戦っている最中に、このような報道が起こること自体、われわれにとって迷惑な話だ」と怒りをあらわにして、25日には返金を発表した。
党関係者は「なぜ非公認の陣営にも活動費を支給したかは疑問が残るところで、党執行部の落ち度は否めない。一方で、非公認は旧安倍派が中心で、安倍派斬りのためにスクープした『赤旗』にあえてリークしたのではないかとまで勘繰られ、党内は疑心暗鬼に包まれていますよ」。
すでに衆院選後はカオスの予感だ。「自公過半数割れとなった場合、国民民主党か維新との連立を模索することになるが、まとまるかどうか。連立が暗礁に乗り上げれば、石破おろしとなるが、党内政局となるには旧安倍派の候補がどれだけ当選するかも影響してくる。その場合は執行部にケンカを売った萩生田氏が中心になることは間違いないでしょう」(同)
石破首相は大敗しないともみているフシもあるが、終盤戦で改めて脚光を浴びた裏金問題は各所に波紋を呼んでいる。