27日投開票の衆院選と同時に行われる、最高裁判所の裁判官国民審査への関心を訴えるX(旧ツイッター)への投稿が少なくない。弁護士、裁判官を務めた実在女性をモデルにしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」効果もありそうだ。
「国民審査は今回、めっちゃ意識した。虎に翼のおかげです」「虎に翼を見てたから、とても関心がある」「虎に翼もあったし、最高裁裁判官の国民審査にも関心が集まればいいな」
Xでは、こういった朝ドラと関連づけた国民審査への言及がみられる。伊藤沙莉が主人公の寅子を演じた「虎に翼」は、日本で初の女性弁護士となった1人で、後に裁判官に転じた三淵嘉子(1914―84)をモデルにしている。最高裁判事歴はないが、最高裁事務総局に所属していた時期があった。ドラマは人気のうちに9月末、終了した。
最高裁判事は就任後最初の衆院選時に国民審査を受け、そこから10年経過後に行われる総選挙時に再審査される。15人いる判事のうち、今回対象となるのは6人。
ただ、政治家と違って個々の判事は知名度も低く、審査への関心は選挙ほど高まらないのが常。前回2021年の投票率55・69%は衆院選の55・93%とほぼ同じだが、これは〝辞めさせたい裁判官にだけバツ印をつける〝という投票法のため、無関心で無印でも「罷免を可としない投票」として有効とカウントされるから。
前回最も罷免票が多かったのは深山卓也氏で437万ものバツ印がついた一方、「罷免を可としない」が5270万票あった。深山氏の不信任率は約7・8%で、罷免となる過半数には到底及ばない。
いまだかつて国民審査で罷免された判事はいない。バツの比率が最も高かったのは、72年に審査を受けた下田武三氏に対する15・17%。外務次官、駐米大使を務めた下田氏は、外交官時代の沖縄に関する「核付き返還」発言などが問題視された。72年は沖縄の施政権が日本に戻った年で、地元メディアによると沖縄では不信任票が39%に達したという。下田氏は77年に判事を退官し、79年から85年までプロ野球のコミッショナーを務めた。