最高のスタートだ。ドジャースは25日(日本時間26日)、本拠地ロサンゼルスでヤンキースとのワールドシリーズ第1戦に延長10回、6―3で逆転サヨナラ勝利。まずは1勝を挙げ、悲願のワールドシリーズ制覇へ前進した。
大谷翔平投手(30)は「1番・DH」で先発出場。メジャー7年目にして初めて進出したWSで、初安打が生まれたのは8回の第4打席だった。1点ビハインドの一死走者なしから相手3番手右腕・ケンリーが1ボールから投じた2球目を捉えた。外角のやや真ん中付近へのチェンジアップを振り抜くと、打球は豪速で飛び出した。その初速は113・9マイル(約183・3キロ)。角度は19度と低く、スタンドにこそ届かなかったものの右翼フェンスを直撃する二塁打となった。
二塁にはスライディングで到達した後、相手の中継プレーが乱れた隙を見逃さず、すかさず三塁も陥れた(記録は二塁打と相手の失策)。無走者からバットと足で一死三塁の好機を生み出した大谷は、昨春のWBC決勝で見せたようなしぐさでナインが控えるドジャースベンチを鼓舞。劣勢でも決して諦めない勝利への執念をのぞかせた。
このチャンスに次打者のベッツが飛距離十分の犠飛を中堅に放ち、大谷は悠々と三塁から生還。試合を振り出しに戻して延長戦に突入すると、再び1点を勝ち越された直後の二死満塁からフリーマンにWS史上初となる劇的な逆転のグランドスラムが飛び出し、ドジャー・スタジアムは爆発的な大歓声に包まれた。
「勝てば何でもいいという状況。自分が打てたとか打てないとかは関係ない」と臨んだ世界最高峰の大舞台。試合直後の大谷も興奮を隠せない様子で、初めてのWSでも初戦から結果を残したことには手応えをつかんだようだ。
「いい当たりだったんじゃないかなとは思うので。1アウトで三塁まで取れたというのは大きかったかなと思います」
大谷が「両先発ともに素晴らしい立ち上がり」と語ったように4回までは両チームとも無得点。ドジャースは5回に1点を先制しながら直後に1点を勝ち越され、終盤に追いつき、延長戦で再逆転した。初戦を粘り強く勝ち切ったことに、大谷も「後半、ウチがああいう形で最後持っていくことができたのでピッチャー陣も含めて素晴らしい勝ち方だったなと思います」と納得顔だった。
第2戦(26日=同27日)には山本由伸投手(26)が、日本選手では3人目となるWS先発マウンドに立つ。「この流れを明日に持っていけるようにまた頑張りたいなと思います」と誓った大谷。夢にまで見た世界一まであと3勝だ。