米大リーグの頂点を決めるワールドシリーズ(WS)が25日(日本時間26日)、ロサンゼルスで開幕。大谷翔平投手(30)擁するナショナル・リーグ覇者のドジャースが、アメリカン・リーグ王者のヤンキースに延長10回、6―3で逆転サヨナラ勝ちして先勝した。1点勝ち越しを許した裏の攻撃で二死満塁から3番、フレディ・フリーマン内野手(35)が起死回生の逆転満塁本塁打を放ち、決着をつけた。
ドジャースファンにとってはまるでドラマのようなエンディングだった。10回一死一、二塁で第5打席を迎えた大谷が左邪飛に倒れてツーアウト。本拠地にため息がもれた。続くベッツは申告敬遠。二死満塁で打席に立った2020年のMVP男が意地を見せた。
左腕コステスの初球148キロストレートを一閃。打球は右翼席へ吸い込まれた。WS史上初となる逆転のグランドスラム。ドジャー・スタジアムは熱狂と歓喜に包まれた。
ホームで殊勲のフリーマンを出迎えた大谷も「最高の本塁打で最高の勝ち方を1戦目に持ってこられた」と大興奮する劇的すぎる幕切れ。フリーマンは「まだ実際のところ…まるで何もしていないような、浮いているような感じだった」と信じられない様子。「あれは5歳の自分が、兄たちと裏庭で遊びながら夢見たシナリオそのものだった」としみじみ語り「WSで2アウト満塁…それが実際に起こってサヨナラ満塁本塁打で1勝0敗のリードをもらえるなんてこれ以上のストーリーはない」と感傷に浸った。
ベッツが敬遠されたことについては「僕らは1年中、それを見てきた。ショウヘイを歩かせ、ムーキー(ベッツ)を歩かせて自分にって。それがうちのラインアップのよいところだと思う」と冷静に振り返った。
「あそこはどこに投げようと難しいマッチアップ。左対左だからね」。そんな土壇場でチームを救ったフリーマンはシーズン終了間際に右足首を負傷し、メッツとのリーグ優勝決定シリーズ第5戦を欠場。全力疾走ができない状態ながらも強行出場し、ドジャースに最高の結果をもたらした。