ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)とWBA同級1位ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が来年4月に対戦する可能性が浮上した。共同プロモーターを務めるトップランク社のボブ・アラム最高経営責任者(CEO)が注目発言した。
WBAの指名挑戦者であるアフマダリエフは井上戦の実現に向けて挑発を繰り返し、担当弁護士のワディム・コルニロフ氏が井上側に対し「訴訟を起こす」と主張している中、アラムCEOはポッドキャスト「Fight・Freaks・Unite」で「もし私がアフマダリエフのマネジャーだったら、その方針(訴訟)は採用しない」とし「(来年)4月の試合の交渉を始めることを目指すべきだろう」と語ったという。
井上は12月のサム・グッドマン(オーストアリア)戦後、来年4月に米国で試合を行うプラン。アラムCEOはこれまで井上戦を熱烈に訴えていたアフマダリエフとの対戦を拒否し、大橋秀行会長も「興行として引っかかる」否定的な見解を示していた。しかし、アラム氏はここに来てアフマダリエフと〝モンスター〟が対戦することに含みを持たせたといえる。
その理由について専門メディア「PhiliBoxing」は、WBAベルトの剥奪を懸念しているからという。「4ベルト時代に数少ない絶対的チャンピオンの一人として井上の評判を守ろうとしているだけ」と指摘し「尚弥が絶対的な地位を失うと商業的な価値に影響が出ることを(アラム氏は)恐れたのかもしれない」という。
王者を狙うアフマダリエフが来年4月まで王座挑戦を待てるのであれば、米国で井上と激突する可能性がある。専門メディア「BOXINGSCENE」が「アラム氏はアフマダリエフが井上と戦う場合、報酬の10%しか与えないと考えている」と伝えるように、ファイトマネーの話を出したことでも、今後の対戦を視野に入れているのは間違いないといえる。
井上側は来年秋以降にWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M・T)と東京ドームで対戦する構想もあり、その時に「統一王者」でいることを重要視しているようだ。まずはグッドマンを倒して、来年に〝因縁〟の対決に臨むことになるだろうか。