衆院選(27日投開票)は自民党が大幅に議席を減らし、惨敗した。与党が過半数を割り込むのは、旧民主党政権が誕生した15年前の2009年以来だ。「職責を全うする」と険しい表情で述べた石破茂首相は辞任しない考えを示したが、難しい政権運営を迫られることは確実。今後、どうなるのか――。
まずやって来る大きな山場は特別国会での与野党による首班指名選挙だ。与党で過半数に達していない以上、自公以外の全党がある一人に票を入れると、政権交代となる。本当にそれが実現するとなれば、指名されるのは野党第一党の立憲民主党の野田佳彦代表の公算が大きい。
「与党の過半数割れが目標だったので、達成できたことは大きな成果です」。28日午前1時30分ごろ、党本部で会見を開き、静かな口調で話した野田氏は、政権交代のために国民民主党や日本維新の会などほかの野党に協力を呼び掛けるのか聞かれると、こう答えるにとどめた。
「いろいろお話を聞いて、どういう動きになるかはわかりませんけども、現時点で野党第一党で自分が(首班指名で)手を挙げることが強くなると思います」
与党、立憲とも過半数に達していないため、大きく議席を伸ばした国民民主や維新の存在感は大きくなっている。永田町関係者によると「大幅に議席を減らすことを見越した石破・自民党執行部は選挙中、維新や国民民主党に接触した」という衝撃情報も流れていたという。
「衆院選で議席を増やした国民民主党の玉木雄一郎代表は会見の中で、自公連立政権の参加はないと否定しました。馬場代表も同じく否定。石破首相が総理総裁への続投を宣言した以上、先が見通せない状況です」(同)
一方、自民党内では選挙前、所属国会議員の間で「石破首相で選挙に勝てなかったら党内から退陣要求が強まるだろう。そうなれば11月に再び総裁選が行われるかもしれない」ともささやかれていた。
政界は一寸先は闇――。果たして石破首相は四面楚歌の中、政権を維持できるのか。