米プロバスケットボールNBAデビューを果たしたグリズリーズの河村勇輝(23)が、アジアで脚光を浴びている。
河村は開幕2戦目の25日(日本時間26日)のロケッツ戦で終盤に途中出場して日本人4人目となるNBAデビュー。さっそく初アシストを決めるなど爪痕を残した。続く26日(同27日)のマジック戦でも途中出場して、順調に出場機会を重ねている。この試合では会場から「ユウキを出せ」の大合唱が起きるなど地元での期待の高さが改めて証明されたが、そのフィーバーは米国や日本だけでなくアジアにも波及している。
昨夏のW杯を開催するなど競技が盛んなフィリピンでは、連日のように河村の快進撃を大々的に報道。フィリピンメディア「スピン」は特集を組み「プロバスケットボールの頂点までドリブルで到達することを夢見る、身長が低いフィリピン人全員の野心を刺激するのは、このまれな出来事だ」と河村の活躍がフィリピンの選手にも希望を与えていると伝えた。
「スターになるために生まれた」と河村を形容する同メディアは「勇気、容赦なく疲れを知らない運動能力も備えている。神経科学者のように頭が良く、人を喜ばせようとする熱意を持ったこの23歳は生まれながらのショーマンだ。その魅力は計り知れない」とそのスター性を称賛する。
そして、米国に渡りNBA下部Gリーグのイグナイトと契約した経験もあるフィリピンの有望株カイ・ソットとの比較も分析。「次はカイ・ソットか? ユウキとフィリピン人の旅には多くの共通点があり、そこから楽観的な気持ちが湧いてくる。2人はともに日本でプレーし、横浜ではチームメイトだった。22歳のカイはカワムラより1歳年下だ。そして、2人は同じワッサーマンの顧客でもある」と昨季は同僚だったことなど2人の共通点に注目した。
そして「カワムラが100万分の一のジャックポットを獲得できたのであれば、カイ・ソットも獲得できるかもしれない。彼はすでに時間と努力を注いでおり、今必要なのはバスケットボールの神様からのちょっとした一押しだけだ」と母国のスター候補が将来的にNBAへ挑戦することに期待を寄せた。
また同国メディア「ライフスタイル・インクワイアラー」は「フィリピンのホープたちへのインスピレーション」と題して特集。「カワムラは身長だけでNBAでプレーできる可能性が決まるわけではないことを証明した。むしろ、彼がこれまで示してきた高いシュート率、ボールを運ぶ能力、そして素晴らしいバスケットボールIQは、身長にかかわらずスカウトやGMが見逃さない注目すべきスキルだ」と〝アジアの星〟として河村の能力を絶賛した。
172センチの身長が不利とみられた河村の躍進は、NBAでの成功例が少ないアジアの選手を勇気づけているようだ。