4年後の〝座席〟は激戦必至だ。卓球のWTTチャンピオンズ・モンペリエ(27日、フランス)、女子シングルス決勝で世界ランキング15位の大藤沙月(ミキハウス)が、同7位の張本美和(木下グループ)を4―2で下して初優勝。世界の舞台で日本戦士が存在感を発揮している。
日本は今夏のパリ五輪団体戦決勝で中国に敗れるも、10月のアジア選手権団体戦決勝では中国に勝って金メダルを獲得した。パリ五輪シングルス銅メダルのエース・早田ひな(日本生命)の出場機会はなかったが、張本や平野美宇(木下グループ)が大活躍。歴史的偉業に貢献した平野は「(中国との)距離は間違いなく少しは縮まっているんだな、という実感は持つことができた」と手応えを口にする。
日本選手のレベルが着実に上がる一方で、卓球関係者からは〝ぜいたくな悩み〟も聞かれる。パリ五輪は約2年間に及ぶ選考レースの上位2人をシングルス代表に選出し、団体戦要員の3人目は日本協会の強化本部による推薦で決定。2028年ロサンゼルス五輪は現段階で具体的な選出方法が決まっていないものの、有力選手たちが数少ない枠を争う構図となる。
ある卓球関係者は「ロスを考えた時にはアジア選手権の張本選手はすごかったけど、早田選手もいるし、平野選手や伊藤(美誠=スターツ)選手だって目指すかもしれない。パリ五輪でリザーブだった木原(美悠=木下グループ)選手もいるから本当にどうなるかわからない」と指摘した。
WTTチャンピオンズ・モンペリエでは大藤が平野、伊藤、張本と日本のライバルを次々と破る快進撃。「シングルスではまだ上がたくさんいるので、1つずつ課題と向き合いたい」と意気込む大藤の台頭で、卓球界はさらなる戦国時代を迎えそうだ。