揺るぎなき力は一体どこに隠されているのか。日本シリーズではソフトバンクがDeNAに初戦から連勝し、対戦成績2勝0敗と優位に立っている。パ・リーグ覇者として圧倒的な強さを誇示する若鷹軍団の根底には、選手個々の〝人並み外れた意識〟が秘められているようだ。
チームの屋台骨を支える牧原大成内野手(32)が、その一例を示す。レギュラーシーズンでは78試合に出場し、打率2割8分3厘、2本塁打、13打点。ケガで離脱した時期もありながら、シュアな打撃と堅守で正二塁手として4年ぶりのリーグ制覇に貢献した。
しかし日本ハムとのCSファイナルステージ(みずほペイペイ)ではチーム事情もあり、全3試合でスタメン起用はなし。最後に試合で打席に立ったのはレギュラーシーズン最終戦の4日の本拠地ロッテ戦だった。それでも日本シリーズ第1戦(26日・横浜)、第2戦(27日・同)でそれぞれスタメン出場を果たすと、2試合で6打数3安打2打点と躍動した。
頂上決戦の大舞台で22日ぶりのスタメン起用となっても、きっちり結果を残すことができる。その要因を本多コーチに尋ねてみると、このようにさらりと即答した。
「今(日本シリーズ)だからいい準備が、というものでもないですよ」
さらに同コーチは、次のようにも続けた。
「もちろん結果が出たからこうやって話題になる。(結果が)出ても出なくても自分の最高のパフォーマンスができる準備、それが一番大事なんじゃないですか。ポンと試合に出て(結果が)どうなるかはわからない。例えばいい準備をしていなくても、たまたま結果が出る時もあります」
大切なのは結果がどうであっても常に準備し、臨戦態勢に入っておくこと。いわば「凡事徹底」の極意と評せるかもしれない。それが証拠に本多コーチは牧原大について「変わらずいい準備ができている。いつも通りですね、シーズン中もそれをやってくれていたので」とも続けている。
牧原大に限った話ではない。レギュラーはもちろん、ベンチに入る人間も日頃から準備を徹底し「普遍の心構え」を持つからこそ、どっしりと構えた戦いができるのだ。
4年ぶりの日本一が現実味を帯びているホークス。王者の戦いと心得を同時踏襲し、栄冠をつかみ取る。