〝大器〟がいよいよ覚醒の時を迎える。森保ジャパンは2026年北中米W杯へ向けて、アジア最終予選を戦っている。世代交代を進めながら圧倒的な戦力で首位を快走するが、本大会に向けて新星として期待されるのが、ドイツ1部シュツットガルトのDFチェイス・アンリ(20)だ。元日本代表MF前園真聖氏(50=本紙評論家)が、今後の可能性について指摘した。
高卒ですぐにドイツへ渡ったチェイスは〝超逸材〟の呼び声高く、2022年1月には高校生ながら森保ジャパンの国内組合宿にトレーニングパートナーとして抜てきされた。パリ五輪世代でも早々に頭角を現して中心選手になったが、本大会はクラブ事情で招集は見送り。今季は所属するシュツットガルトでブレークしつつある。
リーグ戦でここまで3試合に先発出場。さらに9月17日に行われた欧州チャンピオンズリーグ(CL)の名門レアル・マドリード(スペイン)戦では後半18分から途中出場すると、フランス代表FWキリアン・エムバペやブラジル代表FWビニシウスなど超一流のスターを相手に堂々としたプレーを披露した。
前園氏はチェイスの現状について「リーグ戦では開幕戦で途中から出てパフォーマンスが良くて、次からスタメンになりました。ブンデスリーガ(ドイツ1部)を見ていると、非常にパフォーマンスは良いです」と指摘。具体的には「まず、すごく落ち着いてプレーしています。読みとかポジショニングなどもすごく良いです。前で(ボールを)奪うとか、奪ってから攻撃に入れます」と高く評価する。
そして「いま本当に調子が良いので、今季はまだ始まったばかりですが、このパフォーマンスを続ければ、代表も見えてくるでしょう」と近々に森保ジャパンへの登用もありえると期待した。その背景には、森保ジャパンのセンターバック事情もある。
「DF冨安(健洋=アーセナル)はケガが多いですし、(W杯まで)2年後を見据えると、DF谷口(彰悟=シントトロイデン)も年齢を考えるとどうかというのもあります。DF板倉(滉=ボルシアMG)やDF町田(浩樹=サンジロワーズ)もいますが、センターバック陣は今(選手層が)薄いとも言えます」と戦力が充実する現在の代表で、食い込む余地があるポジションだと強調する。
続けて「若い年代が入ってこないといけないと思います。次のセンターバックとなった時に、チェイス・アンリなどは必要ではないでしょうか。この前、出場したDF高井(幸大=川崎)とは争っていけると思います」と2年後の大舞台へ向けて、怪物の抜てきをプッシュした。
かねて「自分の名前を世界に売りたい」と豪語するチェイス。超新星に期待は高まるばかりだ。