【取材の裏側 現場ノート】全日本プロレスの会場に暮れの祭典「世界最強タッグ決定リーグ戦」(11月9日、後楽園で開幕)のテーマ曲「オリンピア」が流れ出すと、早くも年の瀬を感じる。
同時に全日ファンが、そわそわし始める季節でもある。団体が契約更改の時期を迎えるからだ。昨年末には大森隆男とヨシ・タツ、木原文人リングアナが退団。年明けに石川修司とブラックめんそーれが団体を離れた。
団体の専務取締役を務める諏訪魔に今年の状況を聞くと「いろいろ話し合いはしていますよ。若手はやる気があるし、全日本でやりたいと言ってくれている」と言いつつも「まだどうなるか分からないね」という返答だった。
昨年末は大量離脱に加え、3冠ヘビー級王座を巻いた中嶋勝彦が数々の言動で騒動を起こしただけでなく「闘魂スタイル」を掲げたことで大混乱に。時を同じくして福田剛紀社長が前面に登場し、元日にはバカ殿様の格好で新年あいさつを行う動画をアップし波紋を呼んだ。
現3冠王者として団体をけん引する青柳優馬は「全日本が皮切りなのかわからないですけど、昨年くらいからいろいろな団体の背広組というか、別にそこまで出てこなくてもいい方たちがドンドン前に出てきて、ファンがちょっと嫌がっている節ってどこの団体にもあったと思うんですよ」と振り返る。優馬の口からは他団体背広組の実名が出たが、余計な被弾をしたくないので公表は避ける。とにかく、リング上の混乱が福田社長の〝迷走〟につながったということだ。
ただし、これが教訓になったという。「選手がしっかりしてお客さんを呼べる存在になれば、背広組はいちいち出しゃばってこなくてもいいので。どっしりとした安心感のある存在にならないといけないなと思いました」
今年最初の興行となった1月2日後楽園大会で福田社長があいさつをした際には観客席からブーイングが起き、会場は騒然とした。優馬は「小話程度の目標なんですけど、ベストなのは〝ゼンニッポンコール〟が起こるような新年あいさつになれば」。今年も年末年始は王道マットの動向を追い続けたい。
(プロレス担当・小坂健一郎)