【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。日経新聞が16日、今年1~9月の訪日外国人による消費額を報じましたね。その額なんと5兆8582億円! もうとんでもない数字です。もちろん過去最高とのことです。インバウンド恐るべしですね…。
日本を訪れる外国人観光客のお目当ての一つが日本のアニメや漫画、いわゆるオタク文化と言われています。そこで今回は、日本の“オタク文化の始祖”と言っても過言でない小説「南総里見八犬伝」をモチーフとした、映画「八犬伝」(公開中)を紹介します。
今作は、作者である滝沢馬琴と浮世絵師・葛飾北斎の友情と執筆を描く「創作パート」と、8つの珠を持つ8人の剣士が運命的に集結し、壮絶な戦いに挑む「八犬伝パート」で構成される一風変わった映画です。馬琴が執筆で味わった苦悩や葛藤、作品に込めた熱い思いを2つのストーリーを交錯させて描き出します。
今までの南総里見八犬伝を扱った作品では、その小説内容にフィーチャーするんですが、今回は2人の天才・馬琴と北斎のやりとりこそが物語の核です。ファンタジーで派手なアクションや立ち回りがある一方で、場面が変わるとおじさん2人がひたすら会話するという緩急のある作りがとても面白いと感じました。
原作となった「南総里見八犬伝」は小説という体裁なのですが、非常に挿絵が多くて日本初のライトノベルとも呼ばれているんですよ。物語の内容も現代でもまったく遜色ないといいますか。8つの珠を持つ8人の剣士が集まり壮絶な戦いに挑む…。なんだかドラゴンボールやロード・オブ・ザ・リングをほうふつとさせますよね。そんな作品が江戸時代にすでに作られ、広く愛されていたというのだから本当に驚きです。現在、さまざまな漫画やライトノベル、それらを原作としたアニメが作られ世界中で愛されてますが、「南総里見八犬伝」はまさに日本が世界に誇るオタク文化の原点的な作品なのではないでしょうか。
インバウンドによりオタクの聖地・秋葉原は本当に国際色豊かな街になっていますよね。それほどまでに外国人を魅了するオタク文化というものを、日本人は今こそ再評価すべきなのではないかと感じます。今大注目の最新作です。ぜひご覧ください。