【赤ペン‼ 赤坂英一】先日、カープの地元・広島の某民放テレビ番組で、アナウンサーがこんなことを言っていた。
「今年のカープは4位でしたが、3連覇する前の年、2015年もやはり4位だったんですよね」
つまり、今季の結果は、来年の優勝の予兆と受け取れる、というわけだ。地元メディアの身びいきながら、本拠地マツダでは厳しい練習が行われている最中。若ゴイたちの流す汗が実を結ぶように祈るエールでもあろう。
そこで思い出されるのが緒方監督時代の15年、日南で行われた秋季キャンプ。よく「地獄のキャンプ」と言っても掛け声倒れに終わることの多い中、本当に地獄さながらの猛練習をやっていた。
練習時間は朝9時から夜間まで。午前中は3~5回の紅白戦を行って、課題が見つかった投手はブルペンへ移動して投げ込み。野手はサブグラウンドで打ち込みである。
午後からは全体練習に加え、投手と野手に分かれて個別練習。日が暮れたら、天福球場には照明設備がないため工事用のライトを持ち込み、延々と練習を続けていた。
その間、一息つけるのはランチタイムの30分間だけ。しかし、選手もコーチも食事もろくに喉を通らず、空腹を覚えるたびに軽いものをつまんでは練習を続けていた。
私が首脳陣にコメントを求めると「とにかく毎日毎日ハードにやってます」と、西武から広島に復帰した河田外野守備走塁コーチ(現ヤクルト二軍)。その河田コーチが「野球の鬼ですよ」と指さしたのが、守備走塁から打撃担当に配置転換された石井打撃コーチ(現DeNA)である。
連日打撃投手を務め、投げる球数は多いときで300~400球。その石井を手伝っていた東出コーチ(現広島二軍)が「毎日こんな激しい練習をやってたらどうなるんだろうと思いました」とのちに漏らしたほど。
そんな最中、日南市の隣の宮崎市でキャンプをしている巨人の内田打撃コーチ(現くふうハヤテ)がやってきた。内田氏は当時、広島と巨人を行ったり来たりしながら指導をしていた人物である。
「首脳陣が若返ったせいか、みんながむしゃらにやってるね」という内田コーチも「練習は量が質を生む」という信念の持ち主。緒方カープの猛練習に目を細めながら「俺のやり方とは違うと感じたところもある」と疑問点も口にしている。
新井カープの日南秋季キャンプはどんな成果を挙げられるか。「地獄」は日本シリーズ終了後、11月4日から始まる。