DeNAが29日、ソフトバンクとの日本シリーズ第3戦(みずほペイペイ)に臨み、4―1で制した。総力戦でシリーズ初勝利をもぎ取り、これで1勝2敗。最大の功労者は何といっても、10安打を浴びながら1失点に抑えた東克樹投手(28)だ。
CSファーストステージ初戦(12日、甲子園)の先発マウンドで左太もも裏肉離れを発症。その18日後の復帰登板で粘投したエースに三浦大輔監督(50)も「大したもんです。回復力も精神力も」。そして「走者を出しながらも丁寧に丁寧に、慌てることなくトバ(戸柱)とのコンビで配球しながら粘り強く投げました」とたたえた。
東本人も「自分らしい投球ができた」と会心の笑み。「病み上がりで、まさか7回まで投げられるとは思わなかった」と安どの表情だった。
手負いのエースを援護するべく、打線も効果的に得点を重ねた。初回にキャプテン・牧秀悟内野手(26)の内野ゴロで先制すると5回に桑原将志外野手(31)のソロ本塁打で勝ち越しを決め、さらに筒香嘉智外野手(32)の右犠飛でも追加点。さらには8回、戸柱恭孝捕手(34)の適時二塁打で3点差に突き放した。
桑原、筒香、戸柱は2連敗した第2戦(27日、横浜)の試合後に「ミーティングを開きたい」と訴えた顔ぶれ。2017年にソフトバンクとのシリーズで2勝4敗と善戦した経験者たちだ。この場で桑原が「負けて悔しくないんか!」と、全員に猛ゲキを飛ばしたことは記憶に新しい。
この日を含めポストシーズン中に牧が緊急ミーティングを招集したのは巨人に敗れたCSファイナル第4戦(19日、東京ドーム)に続いて2度目だった。その経緯について戸柱はこう明かした。
「僕たちのほうが(経験が)長いので、少しでもキャプテンのサポートと言うのか、力になれればチーム力も上がると思うんでね。今は牧のチームなんで、僕らもしっかりと彼の色に染まっていかないといけないんです」
同じ〝17年組〟の山崎康晃投手(32)も自分の経験を話しただけでなく、ミーティングに感銘を受けたという。
「牧は普段、大きい声で集合をかけるタイプではない。でも、CSの時もそうでしたけど、流れが(悪い)というところで彼がみんなを集めて、ひとつの思いを共有することができた。そうしてこのままじゃダメだと、気持ちを一つにすることができたと思います」
チーム一丸となっての1勝目にも浮かれた気分はみじんもない。三浦監督が「1つ勝たないと2つ目もないのでね」と引き締めれば、ヒーローの桑原も「まだ1個勝っただけなんで、明日も死に物狂いで戦います」と言い切った。三浦ベイの逆襲はまだ始まったばかりだ。